2020.12.16
もし『妻が口をきいてくれません』夫妻が離婚を望んだら? 弁護士・南和行さんがアドバイス
鈍感な夫を選んだ妻にも落ち度がある
たしかに美咲さんのイライラや不幸感は、
誠さんの無理解や鈍感、さらには過剰な甘えといった、「誠さんのせい」かもしれません。
でも、美咲さんも無理に結婚させられたのではなく、
それなりに誠さんと自分は「良い夫婦になれるかも」と思って、結婚したのだと思うのです。
誠さんのダメなところに気付かなかったのは、美咲さん自身なんだけどなとも思いました。
美咲さんが責任を一手に引き受ける必要はないですが、
過去の自分の選択が自分自身の失敗だったかもしれないと、
誠さんを選んだ自分の落ち度を冷静に引き取ることができれば、
誠さんに対する怒りを頑なに持続させるという
どうしようもなく無駄な時間とエネルギーを使ったり、
子どもたちに気を遣わせたりすることもなく、
何かしらのソフトランディングがあったのではないか
と思わざるを得ませんでした。
とはいえ、誠さんはあまりに鈍感すぎる。
こんな状態になっても、美咲さんを「ママ」と呼び続けるとか、
さらに丸山さん、いやもちろん丸山さん(伊東さん)は素敵な方ですが、
丸山さんに何でもかんでもベラベラ相談するのとか、
人としての自律があまりに欠けていて、「ないわぁ……」と思いました。
他人だからトホホでいいけど、そりゃ夫だったら怒るわな、と。
ただ、読んでいるあいだずっと、5年にわたる緊張感がヒシヒシと伝わってきたので、
読み終わったときは、本を開いたまま僕も涙がホロり。
何の涙かはわかりませんが……。