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もし『妻が口をきいてくれません』夫妻が離婚を望んだら? 弁護士・南和行さんがアドバイス

「よみタイ」の連載で累計3000万PVを超えたコミック『妻が口をきいてくれません』。
すれ違う夫婦の姿をリアルに描き、SNSなどでも賛否両論渦巻く大反響を呼びました(第1話はこちら)。
書き下ろしを加えて11月26日に発売された単行本は、たちまち大増刷が決定!

そんな超話題の夫婦コミックを、弁護士の南和行さんに読んでいただきました。
南さんは離婚や男女問題を多く扱う弁護士として、大阪を中心に活動中。
その経験をもとにした著作も多く、「よみタイ」では、離婚に至るまでの迷いや葛藤を物語形式で綴った連載「離婚さんいらっしゃい」(2018年10月~2020年4月)が人気を集めました。

さて、『妻が口をきいてくれません』の夫婦は、会話がなくなって5年。
妻・中村美咲は専業主婦で、夫・誠は会社員。
ごく平和な家庭のように見えて一つ違うのは、最低限の言葉以外、妻からまったく話しかけてこないこと。
家事や育児は普通にこなしているし、大喧嘩したわけでもない――

そんな中村夫婦が離婚を望んだら、どうなるのでしょうか。南弁護士の見解は?

(構成/「よみタイ」編集部)

裁判所は離婚を命じる判決はしない

主人公の中村夫婦の場合、もしこの「口をきかない」状態のまま、
誠さんから美咲さんに離婚届による協議離婚を求めるも、美咲さんがそれを拒否したとしたら、
誠さんは第三者に美咲さんを説得してもらうべく、離婚調停を家庭裁判所に起こすことになります。

単行本『妻が口をきいてくれません』より。
単行本『妻が口をきいてくれません』より。

しかし、調停でも美咲さんが、理由はどうあれ離婚を拒否してしまうと、
誠さんは、判決での離婚を命じてくださいと、さらに離婚訴訟を提起しなければなりません

が、今回の場合だと、裁判所は離婚を命じる判決はしないと思います。

裁判所は、誠さんと美咲さんが全く別居もしておらず、
外から見たら社会的にも経済的にも一体である、その事実を重視して、

「婚姻関係は修復不可能な程度にまで破綻しているとはいえない」

という判決を書くでしょう。

5年も会話もないのに!?
どっからどう見たって家庭内別居じゃん!?
いろいろ思うところですが、

そもそも裁判官は、他人様の夫婦に対して、
判決という命令で、強制的に離婚させることにとても慎重です。

不貞行為や、とても長期間の別居、あるいはひどい暴力など、
裁判所は客観的に目に見える事実をとにかく重視します

「家に入ってみないとわからない体感や雰囲気」を手がかりに白黒つけるのは、
裁判官だってなかなか躊躇してしまうのです。

ちなみに裁判所は、

「修復不可能な程度にまで破綻しているとは認められない」

というフレーズを、離婚を認めない判決でよく使います。

誠さん美咲さんの夫婦は、
まだ少しこれから「修復できるかもしれない」期待があるかもしれませんが……。

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南和行

みなみ・かずゆき●1976年大阪府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了後、大阪市立大学法科大学院にて法律を学ぶ。2009年弁護士登録(大阪弁護士会、現在まで)。2011年に同性パートナーの弁護士・吉田昌史と結婚式を挙げ、13年に二人で弁護士事務所「なんもり法律事務所」を大阪・南森町に立ち上げる。一般の民事事件のほか、離婚・男女問題や無戸籍問題など家事事件を多く取り扱う。著書に『同性婚―私たち弁護士夫夫です』(祥伝社新書)、『僕たちのカラフルな毎日―弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記』(産業編集センター)がある。
大阪の下町で法律事務所を営む弁護士の男性カップルを追った、本人とパートナー出演のドキュメンタリー映画『愛と法』(監督:戸田ひかる)は、2017年の第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞し、2018年全国上映で好評を博す。タレント弁護士として、テレビ番組へのコメンテーター出演やドラマ・映画の監修なども手掛ける。
・なんもり法律事務所
http://www.nanmori-law.jp/
・南和行のTwitter
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