2021.11.25
ダブル不倫、体外受精…「不良夫婦」が提示した令和時代の夫婦のあり方—著者からのメッセージも
「自分にとっての正解」を見つけるきっかけに/安本由佳(夫:康介視点)
『不良夫婦』の結末に、皆さんはどんな感想を抱かれたでしょうか。
麻美も康介も褒められた人物ではないから、理解できない・信じられない・胸糞悪いとお叱りの声も飛んでくるかもしれません。
一つ、声を大にしてお伝えしたいのは、『不良夫婦』に描いた夫婦のあり方はあくまで一つのケースだということ。櫻井夫妻をスタンダードと捉え、結婚そのものに幻滅したり否定的にはならないで欲しいなと思います。不倫、DV、モラハラ……ネガティブな話題ばかりが取り沙汰される昨今ですが、表に出ていないだけで幸せに過ごしている夫婦も当然たくさんいます。
その一方で、様々な事情を抱えながら仮面夫婦を続ける人たちが少なくないのもまた事実。
「結婚も離婚も一つの選択肢」という価値観もようやく広がりを見せつつありますが、まだまだ世間一般に受け容れられているとは言い難いのが現状です。
そんな中、折り合いをつけるために「不良化」する夫婦のリアルを描くことは、令和の時代の夫婦のあり方のヒントになり得るのではないかーー。そんな考えから『不良夫婦』を執筆しました。
賛否両論、様々なご意見があると思います。
ただ、今まさに夫婦関係で悩む人たちにとって、この小説が、世間体や善悪から離れた「自分にとっての正解」を見つけるきっかけになれば嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
結婚とは、人生を彩るための一つのツール/山本理沙(妻:麻美視点)
「結婚て、なんだろう」
ここ数年、世の中の流れを見ていて、本当によく思います。
ほんの少し前まで、結婚とは誰にとっても「人生の大きな節目」「その後の人生を捧げる絶対的なもの」そして、「幸せになるために必要なもの」だと思っていました。
しかし実際はどうでしょう。正直なところ、蓋を開けてみれば、結婚によって苦しみを抱えている夫婦がどんなに多いことか。
不倫、セックスレス、不妊、子育ての押し付け合い……問題は尽きることなく、お互いを憎み合っている夫婦も少なくありません。
そんな中で気づいたこと。
一部の「うまくいってる夫婦」は、実は結婚という枠に囚われず、異様なほど自由に過ごしているんです。
お互いを尊重、それぞれ自立して自分の世界を持つ……なんて言えば聞こえは良いですが、話を深ぼるほど、その実情はまさに「不良」。
メディアを騒がせる有名人なんて序の口、もはや爽快感すらあるほど「不良」として開き直っていました。
もちろん、愛情溢れる幸せな家庭を築くことができれば、それ以上のことはありません。
けれど何かしらの問題を抱えたとき、ルールに囚われた善悪にしがみついていては、人はいつまでも前に進めないことがある。
ときにはその殻を破り「不良」になってみると、意外にも自分に合った人生を見つけられるかもしれない……この作品は、そんな思いを込めてみました。
結婚とは、人生を彩るための一つのツール。
そのくらいのテンションでいても、今の時代には合っているかもしれません。
ここまでお読みいただいた読者さま、執筆を支えてくれた皆さまにお礼申し上げます。
お付き合いいただき、誠にありがとうございました。