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夫婦問題カウンセラーは見た! リアル『妻が口をきいてくれません』夫婦が抱える失望と葛藤

離婚は寝耳に水だった

私は、夫のマサシさんからも話を聞くことにしました。
マサシさんは「離婚をしたくないので、なんとかしてほしい」と、カウンセリングに積極的な様子でした。

「それなら、どうして離婚を切り出されてから3か月も放置したんですか?」

私の問いに対して、マサシさんは小さな声でこう答えました。

「離婚なんて寝耳水で、どうやって答えていいかわからなかったので……。ずっと考えてはいました」

自分が家庭内でネガティブな発言をしがちであることは自覚があり、それに対して妻から不満の声があったことも覚えはあると言います。

「でも、妻がそこまで真剣に悩んでいるとは。二人とも外では忙しく働いていて、妻だって急にイライラしたりすることはあるし、お互い様と思っていました」

マサシさんのように妻の訴えを「それほど深刻なことだと思っていなかった」と悪気なく流してしまう男性は少なくありません。
それは、男性の方が女性より家庭に対する「危機レベル信号」が鈍感な人が多いからです。
こういう人は、外ではバリバリ働いていても、家庭では完全にスイッチオフ。
本人には家庭をないがしろにしているつもりはないのですが、家庭の運営にも会社と同じように夫婦それぞれの努力が必要であることがわかっていません。だから、食事の合間なんかに「〜〜をやめて」「〜〜してほしい」と言われたくらいでは、「なんだか機嫌悪そうだな」「何怒ってるのかな」程度にしかキャッチできないのです。

マサシさんの場合もそうでした。妻が家を出て、カウンセリングに通いだしたところでようやく事の重大さに気づき、「妻の話に耳を傾けてこなかったことは申し訳なく思う」「悪いところは直す」「とにかく一度きちんと話し合いたい」と繰り返します。
それに対してミユキさんは「あれだけ何度も訴えてきたのに通じていなかった。今後も無駄でしょう」と、修復に向けた話し合いには否定的。

二人の温度差は歴然です。

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高草木陽光

たかくさぎはるみ●HaRuカウンセリングオフィス代表、夫婦問題カウンセラー
9年間で約8000人のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人の心に寄り添いながら、解決に向けての手伝いをしている。美容師、育毛カウンセラーを経て、その後、結婚して専業主婦となったが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え、「結婚生活とは何か」を深く考え始める。その後、「離婚カウンセラー」の職業があることを知り、自分たち夫婦や、夫婦関係で悩んでいる人たちのために、必ず役に立つと確信。2009年に「NPO法人 日本家族問題相談連盟」の認定資格を取得し、夫婦問題カウンセラーとなる。「直そうとしないで、わかろうとするカウンセリング」をモットーに日々活動中。
著書に『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』『心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK』(いずれも左右社)がある。
公式サイト:http://haru-counseling.com/

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