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夫婦問題カウンセラーは見た! リアル『妻が口をきいてくれません』夫婦が抱える失望と葛藤

会話が完全になくなってからはでは手遅れ

カウンセラーとして、お二人をなんとか良い方向に導けたらと思いますが、正直に言って、失望によって妻の心が離れてしまった状態からのリカバリーは至難の技。

子供がまだ小さくて、妻が専業主婦のように夫婦間の収入格差がある、この2条件が重なった場合、形としては元サヤに戻るケースもあります。でもそれは夫婦の愛情や信頼関係が完全に戻ることと、決してイコールではありません。

ましてや、ミユキさんの場合、夫と大差ない収入があるし、いざとなればサポートを頼める両親が健在で、“離婚しやすい環境”が整っています。
唯一のつながりは子供ですが、ミユキさんの精神状態はすでに「失望している相手と暮らしていたら子供にも笑顔が見せられなくなってしまう」ところまできていました。

現在、ミユキさんとマサシさんは別居を続けながら、夫婦カウンセリングを通して、お互いの気持ちを伝え合う作業を行なっているところです。
今のところミユキさんの離婚の意志は変わっていませんが、「夫のダメなところばかり目についてどんどん不満を募らせていた」「仕事も家庭も『自分はこうしたい』という理想や価値観が先走っていたかもしれない」など、離れて冷静になって見えてきたものもあると言います。

離婚は必ずしも悪いことではなく、選択肢の一つです。
ただ、あらゆる手を尽くしてお互いが納得した上での選択でなければ、前向きに次のステップに進むことができません。
お二人がどのような選択をするにしても、フェアな状態で結論を出すためには、「話したのに理解されなかった」という妻と、「話し合いすらできなかった」という夫の温度差の埋める作業は必要なのです。
私は第三者の立場のカウンセラーとして、そのお手伝いができればと思っています。

結局のところ、家庭というものは「声のかけ合い」でしか、うまくまわっていきません。
夫婦の会話が少なくなったなと思ったら、「最近話できていないから、子供が寝たあとお茶でもしよう」とか「会話が減ってまずくない? このままだと不安だよ」など、気づいた方から声をかけて、意識的に会話をする時間を作ることです。
会話を重ねることによって、相手の考えや価値観が見えてきて、自分の気持ちをわかってほしい時に効果的な「伝え方」や「言葉」も選べるようになってきます。

病気は早期発見・早期治療が肝心と言いますが、それは夫婦関係も同じ。
会話が完全になくなってからでは、ほぼ手遅れなのです。
そうなる前に「本気で伝える努力」をしてほしいなと思います。

* * *

夫婦問題カウンセラーの高草木さんによる、夫婦間コミュニケーションの具体的なアドバイスは、こちらにも。
会話のない夫婦関係で悩んでいる方、パートナーの気持ちがわからず悩んでいる方は、ぜひあわせてお読みください!

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高草木陽光

たかくさぎはるみ●HaRuカウンセリングオフィス代表、夫婦問題カウンセラー
9年間で約8000人のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人の心に寄り添いながら、解決に向けての手伝いをしている。美容師、育毛カウンセラーを経て、その後、結婚して専業主婦となったが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え、「結婚生活とは何か」を深く考え始める。その後、「離婚カウンセラー」の職業があることを知り、自分たち夫婦や、夫婦関係で悩んでいる人たちのために、必ず役に立つと確信。2009年に「NPO法人 日本家族問題相談連盟」の認定資格を取得し、夫婦問題カウンセラーとなる。「直そうとしないで、わかろうとするカウンセリング」をモットーに日々活動中。
著書に『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』『心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK』(いずれも左右社)がある。
公式サイト:http://haru-counseling.com/

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