2020.10.29
鎌倉は、秋もおいしい。鎌倉育ちの作家・甘糟りり子が愛する秋の名店3選
鎌倉育ちだから、鎌倉で今も暮らすからこそ知り得た、当地ならではの魅力やおいしさが詰まった1冊です。
今回はこちらのエッセイ集に収録された数々の名店の中から、秋の美食を厳選してご紹介。
阿部伸二さんによる繊細で美しいイラストや、甘糟さんによる書籍未掲載の撮り下ろし写真とともに、鎌倉の秋の美味をたっぷりとご堪能ください。
(写真/甘糟りり子、イラスト/阿部伸二、構成・文/よみタイ編集部)
日本とイタリアが絶妙に融合する、北鎌倉のイタリアン
まずは、イタリア料理店「Akizuki(アキヅキ)」。
こちらは2019年6月に秋月光広シェフが北鎌倉に開いたお店です。
北鎌倉という地について、甘糟さんはこう綴ります。
ここは海沿いとはまた別の「鎌倉」だ。ひっそりとしているのに威厳がある、といったらいいだろうか。円覚寺の他には同じく鎌倉五山の建長寺や浄智寺、あじさい寺とも呼ばれる明月院などがある。ちなみにサーフィンショップは一軒もない。
北鎌倉というロケーションを含めてAkizukiというレストランは始まっている。
このお店の特徴は、イタリアンでありながらお箸や和の器でおもてなしされること。
手打ちパスタを味わうのもお箸。器も和食器が多用されていて、大葉がのったアクアパッツァはお椀で供されます。
とはいえ、ワイン倉庫には様々な種類のワインやグラッパがずらりと並んでいるところは、やはりイタリア料理店。
その豊富さはお酒も愛する甘糟さんのお墨付きです。
鎌倉の名ビストロの味と伝統を継ぐフレンチ
次にご紹介するのはフランス料理店「ブラッスリー・シェ・アキ」。
こちらは「丸山亭」の支配人だった渡部勝さんが、丸山亭の閉店後に開いたお店です。
丸山亭は、1980年に鎌倉で初めてできた本格フランス料理店で、鎌倉に長く住んでいて知らない人はいないともいえる超名店。
そちらのシェフをはじめとするスタッフがそのまま移ったのが「ブラッスリー・シェ・アキ」で、つまりこのお店は、鎌倉を代表するフレンチの味と伝統を受け継いでいるというわけです。
ここに来ると、つい、いつも同じオーダーをしてしまう。予約の電話の時は、新しいメニューも試したいと思っていても、席に着くと、やっぱりいつものにしよう、となる。でも、それがいいのだ。
そんな甘糟さんの“いつものオーダー”のひとつが、「キャレダニョー」。
パセリが刻まれたパン粉と一緒に焼かれた子羊です。
変わらない美しさ、鎌倉に生きる人たちの「大切な日々の味」が守られている名店です。