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看護師、WEBデザイナー、名門音大卒のチアリーダー……「わたしがレースクイーンになったワケ」

看護師、WEBデザイナー、名門音大卒のチアリーダー……「わたしがレースクイーンになったワケ」

ふたたび、メディアからの熱い視線を浴び、注目を集めているレースクイーン業界。歴史的背景をはじめ、経済事情や㊙エピソードを深く掘り下げるのが、不定期特集「レースクイーンの社会学」。

前回は、全てのレースクイーンたちにとっての頂点である「日本レースクイーン大賞」、その苛烈な投票バトルの裏側をリポート。

第9回となる今回は、看護師やWEBデザイナー、音大卒のチアリーダーといった様々な経歴の女子たちが、なぜレースクイーンという職業を選択したのか、その理由について、余すところなく徹底取材。今現在、転職を考えている人たちにとっても、一つのヒントになるかもしれません!
SUPER GT2019「KT Honey」の小嶋みやびさん。2018日本レースクイーン大賞新人部門では準グランプリを獲得。小鳥みやび名義でコスプレイヤーとしても活躍中(写真提供/GALSPARDISE)
SUPER GT2019「KT Honey」の小嶋みやびさん。2018日本レースクイーン大賞新人部門では準グランプリを獲得。小鳥みやび名義でコスプレイヤーとしても活躍中(写真提供/GALSPARDISE)

“美女鑑賞”という趣味が、レースクイーンへのきっかけに

どうすれば、レースクイーンになれるのか?

レースクイーンの記事を扱っているせいか、最近こういった質問をよく受ける。いちばんオーソドックスなのは、ネットにて「レースクイーン、事務所」のキーワードで検索し、ねらいの事務所の問合せフォームへ応募する方法。次いで、知人の紹介。あるいはイベントコンパニオンとして派遣会社に登録、大きな展示会の現場で一緒になったレースクイーン兼業の女子から情報をもらって、事務所の門戸をたたくというやり方もある。

ここ2~3年、レースクイーン志望者は増加の一途をたどっている。ある事務所では2019年の応募者総数が前年比200%を優に超えた。つまり、倍以上である。

そういった傾向にあるのは、もともと、一定のビジュアルさえあれば、女優やモデルに比べてトライしやすい分野という先入観が存在するためだ。さらに、普段では味わえない華やかな衣装、立ち位置を味わうことで変身願望を満たせるという理由に加え、2010年代のアイドルブームが落ち着き、表舞台に立ちたい女子にとって、またメディアにとっても、関心が再び高まっているからだと考えられる。

あまたいる志望者、晴れてレースクイーンとしてデビューを果たした人たちの前歴も多種多様である。高校生や大学生、会社員に看護師、介護福祉士、管理栄養士、保育園の先生などなど……。

一番人気のカーレース、SUPER GTのレースクイーンを務めている小嶋みやび さんは、なかなか変わった経歴の持ち主だ。

14歳からコスプレイヤーとして活動開始。得意科目である美術の才能をいかして、4年制大学を卒業後、WEBマーケティング会社に就職。デザイン担当として日々を送っていたのだが……。

「昔から、同じ時間、同じ場所に行って、同じ人たちとなにかやるというのが、あんまり得意ではなかったんですね。こんな毎日でいいのかなぁと。学生時代から東京モーターショーや東京ゲームショウといった大きな展示会で、単発的にモデルコンパニオンをさせてもらっていたので、その記憶がずっと頭の片隅に残り続けていたんです。人前に出るのは苦手で、どちらかといえば極度の人見知りなんですが、やっぱりあの非日常的な世界は、とても刺激的でしたし、忘れられなかったんですよね……」

もうひとつ、小嶋さんの心をくすぐったのが、モデルコンパニオンの現場で一緒になったレースクイーン兼業者のビジュアルレベル。小嶋さんの少女時代からの趣味は“美女鑑賞”。一般企業勤務では、めったに味わうことのできない美女づくしの職場環境はとてつもなく魅力的に映った。それも引き金となって、小嶋さんはレースクイーンへの道を切り拓いた。

「恋愛対象は男性なのですが、“美女鑑賞”がライフワークなんです。美術品を愛でる感覚といえば、理解してもらえますかね? 24歳の秋にすべり込みで今の事務所に入って、運よくレースクイーンになってからは至福の日々を過ごしてます。1年の間にサーキットで、胸に刺さるレースクイーンを眺めては、そのたびにひとり悦に入るという(笑)。

もし、あのまま会社員として25歳を迎えていたら、現在のような状況にはならなかったと思います。本格的に活動を始めた翌年に、事務所の後輩にあたる子から、会社を辞めてレースクイーンを選択するべきかの相談を受けたとき、はっきりと言いましたね。『今しかできないことは、今やるしかないんじゃない?』と」

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高橋史門

たかはし・しもん●エディター&ライター。1972年、福島県生まれ。日本大学在学中に、「思想の科学」にてコラムを書きはじめる。卒業後、「Boon」(祥伝社)や「relax」、「POPEYE」(マガジンハウス)などでエディター兼スタイリストとして活動。1990年代のヴィンテージブームを手掛ける。2003年より、「週刊プレイボーイ」や「週刊ヤングジャンプ」のグラビア編集、サッカー専門誌のライターに。現在は、編集記者のかたわら、タレントの育成や俳優の仕事も展開中。主な著作に「松井大輔 D-VISIONS」(集英社)、「井関かおりSTYLE BOOK~5年先まで役立つ着まわし~」(エムオンエンタテインメント※企画・プロデュース)などがある。

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