2021.12.31
「『きのう何食べた?』が支持されることは希望」 ジャーナリスト・浜田敬子さんが薦めるドラマ3作
体が内側から温かくなる 『きのう何食べた?』
テレビでドラマが放映されたのは数年前。漫画の評判も聞いてはいました。仕事でいろんなことが重なり、落ち込んでいるときに、ふとNetflixで見始めたら、止まりませんでした。
シロさんとケンジという同性のカップルが主人公なのですが、もう一つの主役がご飯です。料理が得意なシロさんが作る、簡単だけど毎日食べたくなるご飯のおかずの数々。「何食べ」のレシピを検索しては何度も作りました。
このドラマも何度か好きなシーンを繰り返し見たのですが、残るのは温かい具たくさんのお味噌汁を飲んだ時のような感覚です。お腹の中にずっしりと何かが残る。そして体がぽかぽかと内側から温かくなる。それは今の法律や制度としての中ではなかなか「家族」として認めてもらいにくく、実の親にすら理解されない関係であるからこそ、シロさんとケンジが思いやり、支え合いながら生きている姿に心打たれるから。家族って本来こういうことなのではないかと思うからなのです。
その中心にあるのは、毎日一緒に食卓を囲む、という日常。そのささやかな日常を積み重ねて行く中に幸せはあるんだなと思うのです。
2021年秋には劇場版も公開され、こちらももちろん観に行きました。比較的若い世代で満席だった映画館を見ながら、こういう映画やドラマが支持されること自体に少し希望を感じたのです。
今回紹介した作品が観られる主な配信サービスはこちら(2021年12月現在)
『大豆田とわ子と3人の元夫』/Netflix、FOD、U-NEXT 他
『椿の花咲く頃』/Netflix
『きのう何食べた?』/Netflix、Hulu、Amazonプライム・ビデオ 他
均等法世代の一人が次世代へ贈るメッセージ
書籍『働く女子と罪悪感「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる』は、均等法世代の一人、浜田敬子さんが次世代へ贈るメッセージ。
「この30年で何が変わったのか。何が変わっていないのか。なぜ変わっていないのか。これから変えていけるのか。それを考えるためにも、すでに“歴史になりつつある私たちの世代の物語が、何かのヒントになればと思う。今働くことに悩んでいる後輩世代たちに少しでも参考になれば、その一つのケースとして、少しでも役に立てればと思っている」(本書「はじめに」より)
働く現場からみた日本のジェンダー史も振り返ることができる1冊です。
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