2021.7.18
「女の人生は綺麗事だけでは語れない」「実話と錯覚するかのような臨場感」 原作者が語る漫画『恋と友情のあいだで』の魅力
タイトルどおり、恋と友情のあいだで運命に翻弄され続ける男女、里奈と廉それぞれの視点で描かれる、ヒューマンラブストーリーは、よみタイでも超人気の連載漫画です。
原作はグルメメディア「東京カレンダー」に連載していた同名の大ヒット小説。
今回は、連載のコミックス化を記念して、原作小説の共著者である山本理沙さんと安本由佳さんに特別コメントをいただきました。
リナレンの生みの親であるお二人が、本作に込めた思いや、コミカライズの感想などを、たっぷりと語ってくださっています!
(構成/「よみタイ」編集部)
まずは、原作小説で里奈目線での執筆を担当した、山本理沙さんのコメントからどうぞ!
美人で優秀な女性は、実はすごく生きづらい
『恋と友情のあいだで』をご愛読いただいている皆さま、ありがとうございます。
この作品は2018年の原作連載時からとても楽しく、また大切に執筆していた作品ですので、コミカライズによりさらに多くの読者の方の目に触れるようになり本当に嬉しく思っています。
この作品の見どころは、何といっても男女交互目線でストーリーが進むところ。
共著の安本さんと、当時は毎日のようにLINEを交わしながらストーリの構成を練っていました。
同じ出来事でも、男女によって、それぞれ視点や心の動きは微妙に変わってくる。特に里奈と廉は、都会の若者特有のヒネくれた一面があるので(笑)、そんな一筋縄ではいかない男女の絶妙な関係、愛情、欲望、そして愚かさを、言い訳なしにすべて書きたいと思っていました。
私はやっぱりヒロインの里奈に一番思い入れがありますが、「美人で優秀な女性は、実はすごく生きづらい」と、彼女を書くときにいつも感じていました。表面的に恵まれているからこそ、その立ち位置を変えられず、本心に素直になれない女の苦悩と葛藤。里奈を我儘な悪女だと思う方もいるだろうし、間違いも犯すので批判の声もあがるでしょう。
でも、仕事に恋愛、結婚、出産……多くのイベントが容赦なく発生する女の人生は、そんなに簡単ではないし、綺麗事だけでは語れない。
「商社への入社」「御曹司との結婚」など、里奈が手に入れる煌びやかなスペックは実はどちらも彼女が心から欲していたものではなかった――なのにそれを選んでしまった。港区の独特な風潮に染まり、選ばざるを得なかった。
実際私は、そういう女性を東京で多く見てきたと思います。
まるで鎧のように外見も内面も強く美しく武装する一方、彼女たちが時折見せる迷いや弱さに心を揺さぶられることも何度もありました。その人間らしさを魅力的だと思うし、何より私はそんな彼女たちがとても好きです。