2021.7.1
不倫バッシング、夫の名前の表札…「日本の家族観」が生む苦しみ。南和行さん×三輪記子さん弁護士対談
性について語り下手な社会に一石を投じたい
南 そういう男女の経済格差やジェンダーの問題、あるいは先ほど三輪先生がご指摘くださった固定的な家族の意識みたいな問題って、日本社会の歪みとして理屈で解説や理解ができても、浸透するというプロセスがなかなかないじゃないですか。政府が男女共同参画とか女性活躍って言ってもなかなか実際には進まなくて、「また言ってるよ」というような雰囲気ができてしまったり。
だから、物語として読み物にしたり、あるいは漫画とかドラマとかにして感情移入しやすい形にしたりすることによって、多くの人に広がるような気はするんですよね。
三輪 私と一緒にYouTubeやってるくらたま(漫画家・倉田真由美さん)って、御存じのとおり『だめんず・うぉ~か~』で有名じゃないですか。『だめんず・うぉ~か~』じゃなくて、『ヤリマン・うぉ~か~』っていうのを誰か描いてくれないかなと思ってて。年齢とか職業とか幅広く世の中のヤリマンに話を聞いて、あなたはどんなヤリマンかとか、どうしてヤリマンになったのかということを掘り下げるエッセイ漫画があったらいいなって思っているんですけど、誰かやってくれないですかね。男性が経験豊富なことは「武勇伝」とされがちなのに、同じことを女性がすると眉をひそめられるから、誰も言わないんですよね、「自分がヤリマンです」って。
南 結局、性とか夫婦の問題ってデリケートで扱うのが難しいじゃないですか。だから、男女格差とかジェンダーの問題も含めたセックスが語られにくいし、語り下手な社会というものがあって、そこに何か一石という気持ちは結構あると思うんですよ。僕も多分三輪先生も。
南 そういう意味で言うと、僕は今回の『夫婦をやめたい』は、生々しいセックス描写はなくても、これを読んだ人が、様々な夫婦のストーリーを通して、これだけ仲が悪くても子供がいるんだから過去にはそういうこともあったんだろうとか、心のどこかで夫婦生活を想像して、自分の性についても考える……そういう入り口的なところをうまく書けたと思うんですよ。
三輪 うんうん、よかったね! 私は南先生と付き合いが長いですけど、今回の本を読んで「ああ、南先生はこういうことがやりたかったんだな」とわかりました。仕事としてじゃなくて、心から好きで楽しんで書いているんだろうな、ということが伝わってきました。
南 イラストレーターの上田惣子さんにも素敵な装丁画を書いていただいて、こんないい本にしていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。
三輪 弁護士の観点からもすごくリアルで読み応えがありました。ちゃんとTwitterでも宣伝するんで。
南 ありがとうございます!
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