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鎌倉は、春もおいしい。鎌倉育ちの作家・甘糟りり子が愛する「お米」が主役の店

お米の三段階の変化を味わう

書籍『鎌倉だから、おいしい。』の中でこちらの「朝食 喜心 kamakura」を、「白米を通じて、食べることの楽しさを再確認できるお店」と、甘糟さんは綴っています。

品書きは「朝食」が2750円(※2021年4月8日現在は週末のみ)。「最高湖東焼さいこうことうやき 一士郎窯いちしろうがま」の土鍋で炊くご飯に、向う付け、汁物、お漬物、焼き魚がつきます。

甘糟さんのお気に入りはというと……

 私はお味噌汁が一番好き。ご飯とお味噌汁というコーディネートは、いってみれば、白いシャツとデニムみたいなもの。もっともベーシックだからこそ個性が透けてみえる。そこがいい。
 と書いておいてなんだが、ここのカウンターで炊きたての白いご飯を口にすると、何が一番なんていちいち決めるのがばかばかしい、そんな気分にもなる。

そんな「朝食 喜心」の主役はやっぱり白米!
まずは、いくつも並べられた飯茶椀のなかから好きな茶椀を選びます。どんな器を選ぶかで味わいは変わりますから、器選びも食事のうち。
そしていよいよ主役のお米が登場するわけですが、ご飯は三段階の異なる状態で提供されます。
最初はお米がご飯に変わった瞬間の「煮えばな」。蒸らす前の状態で、口に含むと、ほんの少し芯を感じることができます。
次が、しっかり炊かれた、ふっくらとしたご飯。お漬物や汁物など塩味と一緒に味わって、お米の甘さを実感します。
そして最後が、お煎餅のような「おこげ」。パリパリとしたおこげは、粗塩で味わいます。

 朝食 喜心 kamakuraで、お米の可能性を改めて知った。この三段階を体験すると、お米が、ご飯がより好きになる。

と、語っています。

しっとりとした佇まいも魅力の喜心
しっとりとした佇まいも魅力の喜心
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新刊紹介

甘糟りり子

あまかす・りりこ●作家。1964年横浜生まれ。3歳から鎌倉在住。都市に生きる男女と彼らを取り巻く文化をリアルに写した小説やコラムに定評がある。近著の『産む、産まない、産めない』(講談社)は5刷に。そのほか『産まなくても、産めなくても』(講談社)など現代の女性が直面する岐路についての本や、鎌倉暮らしや家族のことを綴ったエッセイ『鎌倉の家』(河出書房新社)など好評発売中。

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