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「備蓄食品の賞味期限切れ経験あり」は65%以上! 震災から10年、今こそ知るべき非常食の管理法

賞味期限が切れても工夫して消費を

――久々に開けた防災バッグから出てきた期限切れの水や非常食、身に覚えがあります……。とはいえ備えは必要ですよね。非常食をムダにしないコツはありますか。

一つは、賞味期限が切れたものでも一律に廃棄せず、適切に消費すること。
国民生活センターが、賞味期限が切れている未開封の備蓄食品を対象に行ったテストでは、容器包装の外側にへこみや汚れ、サビなどが見られた物があったものの、中身の食品には異常がなく、異物や変色も見られませんでした。
微生物検査でも、腐敗は進行しておらず、「食品、添加物等の規格基準」などの法令に照らし合わせて問題となるレベルのものは検出されませんでした。

――連載の初回でも「賞味期限はあくまでも美味しく食べられる目安であって、即廃棄の基準ではない」ということを書かれていましたね。

そうです。非常食に限らず、多くの食品が、まだ食べられる状態であるにも関わらず、賞味期限が切れたからといって捨てられている現状があります。
もちろん問題なく食べられるかどうかは、食品の劣化の状態や、各自の体質や体調にもよります。ですから、賞味期限が切れたら一律で即ゴミ箱へ、ではなく、状態をチェックして、問題ないものは工夫して食べるという習慣をつけていただきたいなと思います。
なお、「消費期限」はおおむね5日以内の日持ちの、劣化が早いものに記載されていますので、消費期限が切れた食品は食べない方が良いとされています。

備蓄食料はしまいこまず、普段の食事やアウトドアで活用するのも手。
備蓄食料はしまいこまず、普段の食事やアウトドアで活用するのも手。

――他にも非常食のロスを減らすコツはありますか。

災害はいつ起こるかわかりませんから、言うまでもなく各家庭の備えはとても重要です。ただ、肝心な時に持ち運べないほど大量の食品を蓄えていても持て余すだけ。
家族の人数などに応じて必要量を想定した分、備蓄することが大切です。

また、非常袋に入れっぱなしにしていると、気づいた時には古くなっていた……ということが少なくありません。
毎日使うキッチンやパントリーといった場所にレトルトご飯や水を置いておき、災害時でなくても普段から必要に応じて使う。そして、減った分だけ買い足していく。これを「ローリングストック法」といいます。そして、いざという時はそれらを持ち出して避難する。
こういった備蓄の管理方法を習慣化すると、無理もムダもなく、続けられると思います。

* * *
井出さん、ありがとうございました!

食品ロス問題ジャーナリスト・井出留美さんの連載「捨てない食卓」は毎月第4水曜更新中です。
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地球にもお財布にも優しい「捨てない食卓」の始め方を、食材ごとに解説! 月1連載です。
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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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