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「備蓄食品の賞味期限切れ経験あり」は65%以上! 震災から10年、今こそ知るべき非常食の管理法

――自宅で料理する人は増えたはずなのに、ロスが減ったというのは意外な気もします。

外出して買い出しする機会を減らしたり、お金の節約を意識したりするようになり、家にあるものでまかなう人が増えたようです。
イギリスやイタリア、オーストラリアでは、2019年に比べて2020年の方が家庭における食品廃棄が減ったというデータがあります。
日本でも、グランドデザイン株式会社が5345人を対象に調査を行った結果、家庭で食べ物を捨てる量が減ったと答えた人が全体の20%いました。若干ではありますが、食品ロスが減少する傾向が見られます。

人数分同じメーカーでそろわない食品は廃棄

――井出さんが食品ロス問題の解決に取り組むようになったきっけかは何だったのでしょうか。

もともと食品ロスに関心はあったのですが、大きな契機となったのは、2011年に起こった東日本大震災でした。
当時は食品メーカーの広報室長として働いており、被災地に自社商品を配布するために私も現地に足を運んだのですが、理不尽な理由でたくさんの食べ物がムダになっている様を目の当たりにしたんです。

――理不尽な理由とは。

同じ食べ物なのにメーカーが違って不平等になるから配れないとか、避難所の人数にほんの少しでも足りないと全部廃棄など。
これがきっかけで独立し、食品ロス問題に取り組む現在の会社を立ち上げました。独立から3年間は、食品メーカー時代に寄付をしていたフードバンクの広報責任者も務めました。

いざという時に備えて食品のストックは重要だが……。
いざという時に備えて食品のストックは重要だが……。

――東日本大震災から今年で10年が経ち、あらためて防災意識の高まりから非常用の備蓄食を買い足している人も多いかと思います。

実は、各家庭の備蓄食品は、ロスを生みやすい食材のひとつなんです。
今月頭、独立行政法人国民生活センターが発表した調査結果によると、飲料水や乾麺、缶詰を備蓄する人が多く見られる一方で、65%以上の人が「備蓄食品の賞味期限が切れた経験がある」と答えていました。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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