2021.2.27
じいちゃんのアーミースプーンから、戦争と人の生き方について考える
“じいちゃんのスプーン”は、次の世代にも引き継いでもらう予定
戦地に駆り出された祖父母の代はもう誰もいない。
子供時代に内地で戦争を体験している父母の代も、だんだん少なくなってきた。
僕自身は小さい頃、池袋の路上で白い装束の傷痍軍人を見たりして、戦争の残り香をかすかに嗅いだことがある世代。
そして僕の子供はどうだろう?
今の子にとって、かつてアメリカ人と日本人が殺し合いをしていたなんて、SFみたいな話に思えて当然だ。
だから、このスプーンを大事にしている。
いずれ娘には、“ひいおじいちゃんが、米軍からもらったスプーン”といういわくとともに、嫁入り道具のひとつとして持っていってもらおうと思っている。
生きて虜囚の辱めを受けず、などと勇ましいことを考えず、激戦地で最後まで生き延びて家族のもとに帰ってきたじいちゃんのスプーンから、戦争や人の生き方について、1ミリでも何か感じてもらえたらいいなと思うのだ。
サブカルオヤジたちに捧げるコラム集!
サブカル派を自認する人間はそれぞれ十人十色の「俺のサブカル」を持っていて、これが中年のオヤジともなると、なかなかに厄介でややこしい……自らそう語る、元・雑誌「smart」編集長・佐藤誠二朗さんによる、愛すべきサブカルオヤジたちに捧げるコラム集。書籍『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック ストリートおじさんの流儀100』の詳細はこちらから。