2026.3.2
中高から大学入試の数学まで影響する算数の「小4の壁」。「算数好き!」のまま学力をつけていく方法とは?
植木和実さんが、最小限の努力で、最大限の効果が得られる【小学校6年間の勉強を1年で習得する方法】を伝授する連載。
前回は「算数編」の前編。「小学校6年間の算数を1年で習得するために、中学数学の「予習」が大事な理由とは?」でした。
今回は、いわゆる算数の「小4の壁」問題への対策をわかりやすく教えます。
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算数は学年が上がるにつれて苦手意識が出てくる
小学校低学年の頃は「算数が好き!」だったのに、学年が上がるにつれて苦手意識が出てくる。そんな変化は珍しくありません。
ベネッセ教育総合研究所が2013年に全国の公立小学校15校の1年生~6年生合計7,827名を対象に行った「小学生の計算力の実態と算数に対する意識」についての調査によると、「算数が好き」の割合は1年生が82.5パーセントと最も高く、2・3年生は約80パーセント、4年生では72.2パーセントと大幅に減少し、以降5・6年生はなだらかな減少傾向が見られています。
また、「算数が好き」と計算力の関係をみると、計算問題の得点上位の子どもは得点下位の子どもより「好き」の比率が高く、得点下位の子どもでは、特に4年生から「算数好き」と答える割合が大幅に減っています。そう、これがいわゆる算数の「小4の壁」です。
算数のつまずきは4年生頃に本格化します。低学年の基礎(2年生の九九など)が定着していないこと、4年生で増える「割合」「分数」「小数」「図形(分度器)」などの抽象的な概念が重なるためです。これは、以降の高学年の算数、中高の数学、大学入試まで影響すると言われています。
この波をできるだけ穏やかに超えて、「算数好き!」のまま学力をつけていくにはどうしたらいいか? また、それを、家庭ではどうサポートしていけばよいか。今回は、おもに小学校1年生から4年生のゆっくり育つ子どもさんをもつ方向けに、算数の「小学校のうちにこれだけ!」をお話しします。

まず大切なのは「数の概念の獲得」
小学校低学年の生徒に算数を教えるとき、私がひときわ生徒に集中して察知しようとするのは、「数の概念をどれだけ獲得しているか」です。
私はダウン症の愛娘を育てているのですが、娘が保育園の時、数の概念を早期に獲得して欲しくて、お風呂で10まで一緒に数えたり、娘の大好物のイチゴを使って、「イチゴが1こ、イチゴが2こ、イチゴが3こ、いくつ食べたいかな?」と、日常に取り入れたりしていました。しかし、娘は「ママ、2こ3こ、食べたい」と発言し、今までの行動を「大好きなイチゴを食べるための儀式」「イチゴの別の名前」と認識したようで、母の企みは失敗に終わります。娘は長い間、「30まで(歌として)数えられるけれど、数の概念としては『1、2、いっぱい』」という世界を生きていました。娘が3以上の数の概念を獲得するには、毎日の安心できる環境でのコミュニケーションの中で、脳の領域が育つのを待つ必要がありました。でも大丈夫、ゆっくりでも獲得できます。抽象的な概念、数の概念の獲得は難しいとされるダウン症ですが、娘は今では割り算や分数の計算を楽しみ、「算数が好き」と言います。
小学校低学年の生徒に算数を教えると、ゆっくり育つ子の中には、この数の概念が獲得できていない子が割と多いのです。もし、小1、小2の算数で困ったりしたら、一度確認してみても良いかもしれません。
こんな方法で確認します。
白い紙10枚と、赤い丸シールを用意し、赤い丸シールを1つ貼った紙、2つ貼った紙、3つ貼った紙、これを10まで用意します。この時、赤い丸シールは、並べて貼らずに、バラバラに貼ります。そして、10までの紙をフラッシュカードの要領でランダムに子どもに見せて、赤い丸の数を答えてもらいます。瞬間的に答えられるのはいくつまででしょうか。もし、3や4で引っ掛かりがあれば、足し算や引き算の前に、数の獲得についても働きかける必要があります。焦らなくても獲得できるので大丈夫です。できるだけゆっくり話し、否定せず、この場は安全で安心であることを伝えながら、日々のコミュニケーションを楽しみましょう。間違っていることを伝える時には、別の選択肢を用意して選ばせる方法を取ります。特化したい場合には、ドーマン法のドッツカードを使う方法も有効です。
計算でつまづく子どもたちにとって指は計算機
ゆっくり育つ子の中には、短期記憶のメモリが小さいタイプの子もいます。足し算、引き算の時、どうしても難しい場合には、指を上手に使う方法を推奨しています。実は、小学校低学年で算数が苦しくなる子たちの一番のハードルがここだったりします。足し算カードを使って覚えたり、計算ドリルをしたり、それでも難しい子もいます。指はこの子たちの計算機、慣れればすごいスピードで使えるようになります。「算数の足し算や引き算が暗算でできなかったら、その先の計算、掛け算や割り算も難しくなるのではないか」と考えるかもしれないのですが、大丈夫です。ここさえ、手を使ってでも計算する方法を確立すれば、小学校の計算はそれほど困らないかもしれません。
というのは、実は、子どもたちにとって「掛け算九九は、歌扱い」、足し算や引き算の暗算よりも楽に覚えられたりします。九九を覚えれば、筆算を使って掛け算と割り算を計算することができます。この時にも、ひと桁の足し算や引き算が使われますが、例え指を使っても計算方法さえ習得していれば、答えを出すことができます。
冷静に考えると、実は、算数の計算は、「暗記」と「構造理解」という2つの要素から成り立っています。「暗記」は、足し算引き算の暗算と掛け算の九九、「構造理解」は、筆算の使い方と分数や小数の仕組みです。構造理解については、短期記憶のメモリが小さいタイプの子でも、「エピソード」や「手順」にして覚えると覚えることができるようです。九九を歌のようにして覚え、筆算の使い方と分数や小数の仕組みを「エピソード」や「手順」にして覚え、あとは指を使ってでも足し算や引き算の計算ができれば、小学校で学ぶべき分数や小数の計算まで習得することができます。算数の「小学校のうちにこれだけ!」、まずは、小学校の計算ができれば、それで十分です。時計、単位、面積の計算は、日常生活の中でわかるようにしていきましょう。動画教材などを見て理解するのも良いです。
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