2025.11.19
コーダに会いたくて毎日シクシク…。人と犬が一緒に学ぶってなんだろう【サーフィン犬 コーダが教えてくれたこと 第3回】
犬と暮らす楽しさ。スポーツや遊びを通じて犬とわかり合う楽しさ――。
ドッグトレーナーになってからは、動物たち本来の性質に則ったQOL(生活の質)に配慮する「動物福祉」の考え方をもとに、飼い主と犬がより良い関係を築くためのサポートをする浅野さん。この、人間の都合だけによらない「動物福祉」の考え方が世界中で広まりつつある今、長く続いて来た“人と犬とのパートナーシップ”についてもまた、改めて考えてみたい。
コーダの問題行動に手を焼き始めた前回。その状況を打破するべく、パートナーである浅野さんが始めたのは…
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ドッグトレーニングは犬だけが学ぶものではなかった⁉
ドッグトレーニングを学ぶなら、中途半端ではなく、コーダにとって良い知識を私がしっかり身につけられる、日本一の場所で学びたいと思いました。それに、もうこれ以上コーダを裏切りたくないから、スクール選びで失敗もしたくありません。どんなトレーニングをするスクールで、どんな勉強をしてきた人がトレーナーとして指導しているのか…等々、ドッグスクールの内容をとことん調べて探すようになりました。
その結果、たどり着いたのが「ほめ言葉とごほうびを使って教えるトレーニング」を日本に広めた第一人者、テリー・ライアン先生による、モチベーショナル・ドッグトレーニング(またはPositive Reinforcement Dog Training)でした。それは、人間にとって望ましくない犬の行動を、懲罰を使うのではなく環境を整えることで予防し、犬が望ましい行動をしたら、ほめて報酬を提供することでその行動を増やす、科学的かつ倫理的な方法です。この方法をテリー先生が関わる犬の団体やスクールに行って勉強しようと決めました。するとそこには目からウロコな世界が広がっていたのです…!
まず、スクールのホームページのトップに掲げられていた
「犬と人間が一緒に学ぶスクールです。犬の自信ややる気を引き出しましょう。」
の言葉に、それまで人間が犬をしつけして、犬だけが学ぶものだと思い込んでいた私は、大げさではなく感動で身震いしました。犬がどんな生きものなのか、そしてその飼い主が何をすべきかもわかっていなかった私は、コーダの事をただ抑え付けるだけで、コーダが何を考え、どう感じているかを全く理解していなかった…。――もっと学びたい!コーダと信頼関係を築いて一番の理解者になりたい!と、今までに感じたことのパワーが、心の底から湧き上がり、まるで生まれ変わったような心持ちでした。私とコーダの暗黒時代は終わりを告げ、前を向くことができたのです。
保護犬50頭・保護猫100頭・保護ブタ・保護カラスから学ばせてもらう
スクール探しは、テリー先生のトレーニングを採用していて、ドッグトレーナーになる為の勉強もできて、会社員でも働きながら学べるという条件で検討していました。
最初に学びに行こうと思ったのは栃木県にあるAFCアニマル・ファンスィアーズ・クラブでした。そこで実施している「ドッグトレーナーを目指す人のための宿泊研修プログラム」に会社のゴールデンウィーク休暇を使って申し込みをしました。
AFCは会員制のドッグトレーニングクラブで、広大な敷地にトレーニングジム、ドッグラン、トレッキングフィールド、アジリティフィールド、さらには会員専用の宿泊施設や食堂、動物たちの保護シェルターも併設しており、海外からの講師を招いてセミナーなども行っています。その充実ぶりは、プロのトレーナーや家庭犬のトレーニングを本気で学びたい人のためには究極の施設で、ネットで見つけた時からずっと私の憧れでした。
AFCの代表は、ご挨拶して初めて分かったのですが、動物保護活動家であり、元歌手の佐良直美先生でした。佐良先生は、テリー先生の日本人で初めての弟子で、「モチベーショナル・ドッグトレーニング」を日本に紹介してくださったパイオニアです。施設運営をする傍ら、保護犬50頭、保護猫100頭、保護ブタ、保護カラスなどたくさんの動物の面倒をみておられて、私も研修中は、その100頭を超える動物たちのお世話から会員の方への接客やマナー、動物たちのための皿洗いや屋内清掃などの雑用、ドッグトレーニングの見学やアシスタントをさせていただきました。
ドッグトレーニングでは、オビディエンス(服従訓練)、ラリーオビディエンス(犬と飼い主がチームになってコースを回る競技)、アジリティ(障害物競技)、ドッグダンス、クリッカートレーニング(クリック音のする道具を使った訓練)、シェイピング(クリッカートレーニングの1種)、ノーズワーク(犬の嗅覚を使ったゲーム)などを学びました。 AFCは学校ではないので、トレーナー研修はすべてが見て覚えるスタイル。ですが、何もかもが新鮮で、何より驚いたのは、参加している犬たちの目の輝きがすごいこと。その目は期待と楽しさと好奇心にあふれていて、ハンドラー(犬を訓練する人) が次に何を提供してくれるかワクワクしているのです。コーダと私がドッグトレーナー・Nさんから教わってきた、恐怖と暴力による支配的なものとは真逆でした。訓練の日が来るたび、私は(そしてきっとコーダも)暗い気持ちでNさんを迎えていた、あの憂鬱だった時間は一体何だったのでしょう…!

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