2018.12.29
40歳になっても50歳になっても「今どきの若者は」なんて絶対に言いたくない ~僕の「先輩」論〜
「今の若い子は、強く叱られるのに慣れていない」
「叱られるのが嫌だなんて甘えている」なんて話、よく聞きますよね。
でもそれって、先輩のエゴじゃないですか?
僕は若者が悪いなんて、思いません。
「怒り」の感情は注意の邪魔をする
後輩を叱ることの目的とは一体何でしょうか?
改善点を後輩に伝えることですよね。
必要以上に落ち込ませたり、受け入れづらいと思わせることは、目的を見失っています。
「俺が若い頃は怒鳴られて育ったのに、なんで伝わらないんだ」なんてセリフは、逆に先輩の甘えです。
後輩への「響きやすさ」を考えるなら、先輩のこちらが時代や相手に合わせるべきなんです。
つまり、世代の違う後輩にうまく伝わっていないのに、伝わりやすいように叱り方を変えていけない先輩こそが甘えているといえるでしょう。
優しく注意したほうが受け入れられやすいなら、言葉遣いに気を使う。
フランクに接したほうが聞いてくれるなら、まずは仲良くする。
注意する先輩が、合わせる努力をしてこそ、「相手のことを考えて叱っている」ということになるはずです。
声を荒げたり、キツい言葉を使ったりすることは、「自分がこうされていたから」と同じことを後輩にして溜飲を下げるために叱っているだけですよね。
そもそも、感情をあらわにしたような怒り方は、相手に逆に逃げ道を与えてしまう。
どんなにためになることを言っていたとしても「この先輩はイライラしてるから怒ってるだけ」という印象になってしまうと、最初から聞いてもらえません。
それじゃあせっかく注意する意味がありませんよね。
相手が100%おかしいときこそ、しっかり聞いてもらうために、声を荒らげず、冷静に、ド正論で注意するべきなんです。
キツく言ったって、いいことなんて一つも無いと思います。
「説明」と「丸く収める」で後輩のモチベーションを上げる
先輩としては、後輩のモチベーションを上げられる注意の仕方をしたい、というのも僕のポリシーです。
やはり、後輩の成長を助けられてこその、先輩からの注意ですから。
そのために気をつけていることが2つあります。
まず1つ目は、きちんと説明すること。
「それはダメだ」と頭ごなしに怒ることが、1番よくない。
なぜダメなのか、どうしたらいいのかはもちろん、「君のこの部分は間違っていない」という良いところも説明する。相手の気持ちのどこを尊重するか、その上でどう改善していってほしいのかを、細かく説明します。
たとえ僕自身の考え方が100%正しいと思っていても、「君がこう思うことは理解できるけれど、逆にとらえる人もいる」という風に話します。
後輩だって何か考えがあってやっているのかもしれません。そこを無視することは「お前は全部ダメだ」と全否定しているようなものです。
2つ目は、丸く収めること。
「せっかく頑張っているんだから、こうしたほうがもっとよくなると思うよ!」と、きちんと相手を認めているという言葉でしめる。
怒られただけだと、「俺ってとんでもなく仕事ができないのかも」と不安になってしまう人もいます。だから、「ちゃんと頑張れているよ」ということを、最後に伝えて不安を取り除いてあげる。
そうすればやる気も出ますよね。
僕は、先輩にそう言ってもらえると、「よーし、絶対やったるからな!」と燃えますから(笑)。
「後輩に合わせるべき」というのは、叱るときに限ったことではないです。
先輩にとって大事なことは、後輩に慕ってもらえて、ついてきてもらうこと。
慕われていれば、仕事もやりやすくなりますし、叱ったときだってしっかりと相手に響きます。
そのためには、先輩側から相手に合わせた付き合い方もするべきなんです。
先輩と後輩という関係は、先輩のほうが力を持っていることが前提の関係になってしまうものです。
だからこそ、力を持っている側から歩み寄ることのほうが、きっと簡単になるはずです。
僕は何歳になっても絶対に「今どきの若者は」はなんて言わない
ここまで先輩としての在り方をお話しましたが、僕はまだ働き始めて2年目の美容師アシスタント。後輩といっても、仕事歴1年しか変わらない子たちばかりです。
けれど、それでもやっぱり「俺とは違うな」と思うところがたくさんあります。
きっとこの先、10年20年と働いていけば、もっともっと後輩と自分の意識との間に「時代の差」が現れてくるでしょう。
優しく注意することが悪手になることも、自分では到底理解ができない考え方をする後輩が増えることもあるかもしれません。
でも、40歳になっても50歳になっても、僕は「今どきの若者は」なんて絶対に言いたくない。
そのときに20歳の子に合わせた叱り方を模索できる人間でありたい。
そう思う事がきっと「初心」なのかもしれません。
なので、初心を忘れずに尊敬できるような先輩になっていきたいと思っています。