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猫はキラキラネームで犬はシワシワネーム!? 子どもの名前の流行が影響(第3回)

現在は個性的な「キラキラネーム」がすっかり定着していますよね。ペットは人間社会を写す鏡…ということは、ペットにもキラキラネームの波が到来しているのでしょうか?
今回は「ペットの名前」について考えてみたいと思います。

実はペットの種類によってネーミングには特徴があるのです。ある動物病院の獣医師さんによれば、猫の飼い主は犬の飼い主に比べてユニークな名前をつける傾向があるとか!
アニコム損害保険株式会社が毎年発表している「犬の名前ランキング」と「猫の名前ランキング」をもとに紹介しましょう。

犬にも猫にも人気の名前は「レオ」や「モモ」

日本人はペットを含むあらゆるものに名前をつけたがる傾向があります。
愛車に名前をつけている方もいるでしょう。
身近なものへの愛着をネーミングで表現するのかもしれませんし、擬人化の一つとも言えますね。

ペット保険「どうぶつ健保」を扱うアニコム損害保険株式会社が毎年発表している犬猫の名前ランキングを見ると、犬や猫の名前は2文字のシンプルな名前が多いことがわかります。
しかも上位3位の名前がほぼ同じ!

■犬
<オス>
1位 ソラ
2位 レオ
3位 コタロウ
<メス>
1位 モモ
2位 ココ
3位 ハナ

■猫
<オス>
1位 レオ
2位 ソラ
3位 コテツ
<メス>
1位 モモ
2位 ココ
3位 ハナ

■アニコム損害保険株式会社「犬の名前ランキング2018」「猫の名前ランキング2018」
https://www.anicom-sompo.co.jp/special/name_dog/dog_2018/
https://www.anicom-sompo.co.jp/special/name_cat/

人のキラキラネームに対して「ペットの名前のようだ」という声が上がることもありますが、実際のペットの名前では、漢字や読み方が凝っているものは意外と少ないのですね。呼びやすさ重視で決めることが多いのかもしれません。

猫の名前は超ユニーク。名字やミドルネームまで!

ある獣医師さんによれば、猫は犬よりも個性的な名前が多いそうです。例えば「エリザベス・ブラウン・山田」というミドルネームを持つ猫や、「佐藤・高橋チロ」という飼い主とは別の名字を持つ猫も!

他にも某球団の野球選手にそっくりな猫だったので「そっくりさん」、由来不明の「クリスタルドラゴン」など。待合室で呼ばれたら注目の的ですね。

ランキング上位はシンプルな名前ですが、中にはこうしたキラキラネームの枠を飛び越えた名前も。自由奔放な猫を見て飼い主さんがひらめいたのかもしれませんね。飼い猫は8割以上が雑種なので、容姿にネーミングのヒントになる個性が表れていることも考えられます。

犬の名前は犬種による。プードルはお菓子、柴犬は漢字

犬は猫より純血種が多く、プードル、チワワ、ダックスフンドなどの小型犬がペットでは特に人気です。そのせいか、かわいらしい名前が目立ちます。「マロン」や「チョコ」などのおいしそうなお菓子をイメージした名前が多いのは、女性が名付けるからでしょうか。

柴犬は「小太郎」「武蔵」「桜」「小梅」といった漢字の名前も多く、現在の人の名前よりもやや古風なシワシワネーム。意外なことに、フレンチ・ブルドッグも和風の名前が多いのだとか。また歴史好きの飼い主がポメラニアンに「左近」と名付けたケースもあります。

そのほか、純血種の犬種や猫種ならではの名前も。たとえばプードルの「プー」やアビシニアンの「アビ」などは、ペットの種とセットで覚えやすいですよね。

■アニコム損害保険株式会社「人気犬種ランキング2018」
https://www.anicom-sompo.co.jp/special/breed/

ペットの名前を改名したくなったらどうする?

人の名前は簡単に改名できませんが、ペットは呼び名を変えるだけで改名できます。たとえば犬が聞き取りづらい発音の名前や運勢が良くない名前を改名したケースがあります。

ただし犬は法律で自治体に登録が義務付けられていて、人のマイナンバーと同じく名前と番号が記録されています。
もしその名前も変えたい場合は自治体に問い合わせましょう。地域によっては電話で改名を受け付けてもらえることもあります。ただし動物病院、ペットホテル、ペット保険、マイクロチップなどの登録情報も変える必要が!改名するときは手続きの手間も考えたほうがよさそうです…。

それでも改名したケースを紹介しましょう。
せつない話ですが、名前を呼ばれて怒られていた犬が自分の名前を聞くとおびえるようになってしまったため、譲渡を機に改名したケースがあるそうです。名前に関するエピソードは飼い主さんの愛情を感じる話が多いですね。

家族間で意見が割れた結果、名前が2つある犬もいます。どちらかに改名したほうがいいのでは?と思うかもしれませんが、犬はどちらも自分の名前だと認識しているのだとか。

血統書の名前が一番キラキラ&シワシワかも…

純血種の犬猫には大抵「血統証明書(血統書)」があります。たとえば犬名欄に「ビクトリー・ギャングスター・プリンス・タナカ・ジェイピー」とか、ものすごく長い名前がついていることも…。ダックスフンドのブリーダーによれば「ドッグショー(犬の品評会)で勝てるように、なるべく強そうな名前をつけるのです」とのこと。確かに強そう…!
この名前の場合、「タナカ・ジェイピー」は「日本(JP)の田中さんの犬舎」という意味だそうです。

柴犬や秋田犬などの日本犬は漢字の名前が圧倒的多数です。毛色にちなんだ名前をつける場合、赤毛(茶色)なら「赤富士号」や白毛なら「白竜号」などです。
「故郷に錦を飾ってほしいという思いで、地名や犬舎名をつけることもあります」と話す日本犬のブリーダーもいます。

一見キラキラ&シワシワでも、自治体や動物病院に登録している名前は「シフォン」や「ハナ」だったりするわけです。
持っていてもあまり使うことのないペットの血統書。名前に込められた意味を確認してみてもおもしろいかもしれませんね。

ちなみに我が家の甲斐犬もかなりのキラキラ&シワシワです。初代の血統書名は「上州の錦号」で名前は「ジュウザ」。2代目の血統書名は「彩の暁号」で名前は「サウザー」。落差が激しくて驚かれます…。

ペットの最新の名付けは家族らしい名前

『どうぶつ命名案内』(社会評論社)によれば、江戸時代以前のペットの名前は容姿をもとにした「シロ」「クロ」「ブチ」など、ごくシンプルな名前だったとか。昭和時代に入っても犬は「ポチ」「コロ」、猫は「ミー」「チビ」が多く見られます。ペットのシワシワネームとは、本来このように素朴な名前なのかもしれません。

 ペットの個性的な名前は21世紀に入ってから増え始めています。漢字を使った古風に見える名前も同様で、子どものキラキラネームやシワシワネームの流行も影響しているようにも思いますね。

「ペットは家族」という考えの浸透により、人の間で流行中のキラキラネームをペットに取り入れたり、動物を人のようにとらえて漢字の名前をつけたりするようになったのでしょう。名前の流行から、「ペットへの愛着」が「家族に対する愛情」に変わってきていることを感じますね。

※記事内の名前や事例は個人情報に配慮して紹介しています。

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新刊紹介

金子志緒

かねこ・しお●ライター・編集者/レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作に携わる。主な取得資格は愛玩動物飼養管理士、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のジュウザに続いてサウザーを迎え、おもしろおかしく暮らしている。
ブログ:www.shimashimaoffice.work

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