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「ペット2.0~ペットを見れば社会が見える~」

「魚」のキャットフードが売れるのは日本だけ!?ペットビジネスの市場規模は1兆5000 億円以上!!(第2回)

ペットは人間社会の経済にも大きな貢献を果たしています。2017年度のペットビジネスの市場規模の見込みは、なんと1兆5135億円! これは前年度比101%の市場規模です。ペットの頭数は頭打ちの状況にも関わらず、ペットに関する家庭の支出は増加傾向にあります。一体なぜでしょうか?

これには人の少子高齢化が大きく影響しています。ペットを自分の子どものような存在ととらえ、家族と同等の良質なサービスや商品を求める飼い主が増えているのです。飼い主の高齢化により、ペットの世話をサポートするサービスも増加中。さらに高齢のペットを対象にした介護や医療も注目を集めています。

ちょっとおもしろいのは、成長しているキャットフードの市場です。猫の好物といえば「魚」ですよね。ところがこれは世界を見渡しても珍しい嗜好(その理由は後ほど)。データだけではわからないこそ、ペットの分野はおもしろいのです!

では現在すさまじいスピードで変化を続けるペットビジネスの現状を見ていきましょう!

ペットビジネスの内訳がわずか2年で激変!

ペット関連産業の市場規模は2018年度に1兆5355億円を超えると予測され、今後も前年度比101〜102%で成長していくと見込まれています。まずはペットビジネスの主な分野を紹介しますね。

・ペット関連サービス
 生体(ペットショップやブリーダー)、ペット美容室、動物病院、ペット保険、ペットホテル、ペットシッター、ペットタクシーなど
・ペットフード
 主食となる総合栄養食、トレーニングや間食用のおやつ、デンタルケア用のガムなど
・ペット用品
 トイレ用品、飼育用品(首輪、おもちゃ、水槽など)、衛生用品など

今回特に注目したいのは、今までにない事業が次々に登場しているペット関連サービスです。「ペットは家族」と考える飼い主の需要を受けて、質の高いサービスが登場しています。例えばペットホテルの場合、獣医師が常駐しているほうがちょっと高くても安心ですよね。

では、それぞれの分野をさらに詳しく確認しましょう。

ペットにも高齢化の波が。「ペット保険」から「老犬ホーム」も登場!!

日本は世界有数の保険大国!ペット保険も加入率上昇中

ペットには国民皆保険のような医療保険はありませんが、任意でペット保険に加入できます。ペットの種類や年齢に応じた保険料を払い、動物病院で治療したときに保険金が支払われるしくみです。人の生命保険や自動車保険と同じですね。

「日本人は保険好き」と言われ、生命保険の加入率は80%以上です。ところがペットの保険加入率は10%未満とかなり少なめ。だからこそ今後成長が見込まれる分野なのです。近年は動物の分野でも高度医療が発達し、医療費が高額になる可能性が…。その傾向からいってもこれからペット保険の需要はますます高まるでしょう。私も愛犬のために加入しています!

[主な保険]
どうぶつ健保ふぁみりぃ
 アニコム損害保険株式会社による保険で、犬と猫に加えて鳥、ウサギ、フェレットも加入できる。国内ペット保険シェア1位。
うちの子
 アイペット損害保険株式会社による保険で、犬と猫が加入できる。

認知症や病気でもOK。終生入居の老犬ホームが登場

 飼い主の入院などでペットの世話ができなくなったり、認知症による夜鳴きで自宅での飼育が困難になったりした場合、デイケアだけでなく終生入居が可能な老犬ホームも登場しています。ペットと家族が穏やかに過ごせるサポートをしてくれる心強いサービスですね。

[主な店舗]
老犬本舗
 老犬本舗は東京都板橋区にある老犬介護施設。デイケアから終生の介護まで行う。

「魚のキャットフード」が売れるのは日本だけ!?

猫ブームにより、キャットフードの市場が拡大しています。日本では猫が好きな「魚」を原料にしたフードがたくさん発売されていますが、アメリカやカナダなどの海外製のキャットフードの原料は、鶏などの肉が多いのです。

かつて「肉のキャットフードは日本で売れない」と言われたことさえあったとか! 魚をよく食べる日本人が食事の残りを猫に与えているうちに、日本の猫は「魚好き」に変わっていったのでしょうか。

犬は頭数が微減傾向にありますが、人と同じレベルの食材を使った高品質・高価格のドッグフードが人気を集め、市場規模はほぼ横ばいです。これからもこの傾向は続きそうです。我が家のペットのエンゲル係数もじわじわと上昇中…!

[主な商品]
アイムス
 マースジャパンリミテッドが販売するドッグフードやキャットフードのブランド。
CIAO ちゅ~る
 いなばペットフード株式会社が販売する猫用のおやつ。「猫が夢中になる」といわれる。
モグワン
 株式会社レティシアンが販売するドッグフード。ヒューマングレードを謳う。

ベビー用品や制服メーカーがペットの分野へゾクゾク参入

ペット用品の中で圧倒的にシェアが多いのは、猫砂やトイレシートなどのトイレ用品です。排泄物を処理するために、頻繁に使用する消耗品だからでしょう。ペットの高齢化で介護ウエアの需要も高まっています。近年はベビー用品や制服メーカーなどがペット用品の開発も行うようになりました。

トイレ用品が好調!人のケア用品メーカーが強い

ベビー用品や介護用品を製造するメーカーがペットの分野に参入し、尿の吸収率や消臭機能の高いトイレ用品を発売しています。都市部ではマンションなどでペットを飼う人も多いため、においはトラブルのもとになりやすいのです。よってこれからもますます発展する分野かもしれませんね。

[主な商品]
デオシート
 ユニ・チャーム株式会社が製造するトイレシート。吸収シートと消臭機能に注力した商品。
ニャンとも清潔トイレ
 花王株式会社が製造する猫用トイレ。脱臭と抗菌で衛生面に配慮した1週間取り替え不要の猫砂。

病気や高齢のペット向けに介護用ウエアや車椅子も!

 ペットの高齢化により、介護用品の需要も高まっています。体が不自由になったペットの歩行をサポートする介護用ウエアや車椅子は、市場規模が少ないながらも、必要とする飼い主が途絶えない分野です。

[主な商品]
LaLaWalk
 学生服や体操服を製造する株式会社トンボによる犬の歩行補助ハーネス。四肢を支えることで身体の負担をやわらげる。
ポチの車イス
ポチの車イスの工場では、各地の動物病院と連携して犬用のオーダーメイドの車椅子を製造している。

アメリカのペット市場規模は10兆円時代へ。日本にも可能性が?

最後に海外へ目を向けてみましょう。アメリカの2017年度のペット産業の市場規模は、驚くことに7兆円です。2020年には10兆円を超えると予測されています。ちなみに飼育頭数は犬が約7000万頭、猫が7400万頭。合計で約1億4000万頭です。日本の犬猫の約7倍ですね! 市場規模が大きいのも当たり前かもしれません。

ただし人口で比較すると、日本が約1億3000万人、アメリカが約3億3000万人。犬猫の飼育頭数ほど差がないことがわかります。もちろん世帯数や年齢層の人口が違うため一概に比較はできませんが、日本のペットビジネスは大いに発展の余地があります。

日本の猫が世界有数の魚好きであるように、意外なところに需要が潜んでいる可能性も。ペットや飼い主の立場になって考えることで、新たなペットビジネスのアイデアを発見できるかもしれませんよ。

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金子志緒

かねこ・しお●ライター・編集者/レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作に携わる。主な取得資格は愛玩動物飼養管理士、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のジュウザに続いてサウザーを迎え、おもしろおかしく暮らしている。
ブログ:www.shimashimaoffice.work

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