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私たちは癒されたい ~「女風」に通う女たち~

セラピストに「沼落ち」……嫉妬に燃える女風ユーザーが気づいた真実

女風を通じて自分を大切にできるようになった

 梨花さんはそのセラピストを指名することを辞め、別のセラピストで利用を再開した。その後の女風遍歴の過程では、再び沼って、、、心が傷ついたこともある。しかしそんな経験を重ねるうちに、セラピストとの適度な距離感も徐々につかめるようになり、沼ら、、なくなっていく。
 何よりも女風で心と体が満たされる体験は、何物にも代えがたい素晴らしいものだった。その積み重ねが、梨花さんを次第に楽にしていったのも大きい。
 そして、それがひいては自分自身の尊厳を回復させる力になっていった。過労で体調を崩して休職したことで働き方を見直し、精神的にも余裕ができた。その頃から憑き物が落ちたかのように、女風の利用回数も自然と減っていった。

「私、女風と出会う前までは、劣等感と性欲が全部ごちゃごちゃになっていたんです。だからずっと満たされない思いを抱えていた。だけど女風を通じて自己肯定感が上がったことで、自分の心の動きを冷静に考えられるようになったんですよ。
今湧き上がっているのはただの性欲だから女風で解消しようとか、今私は自信をなくしているんだなとか。たとえその瞬間、満たされないものを感じても、自分で自分を勇気づけられるようになったんです」
 
 長年抱いていた劣等感は突然消えてなくなったりはしない。心の奥底に眠っていて、ふとした拍子に疼くこともある。しかしその疼きを俯瞰で認識することができるようになると、少しだけ見え方が違ってくる。心のカタチを知ることで、梨花さんは長年自分を苦しめていた劣等感と折り合いをつけつつあるのかもしれない。

「女風では色んな経験をしたけど、利用したことを後悔はしていないんです。女風は結果的に私にとって自己肯定感が上がるきっかけを与えてくれた。色々なセラピストさんと会うことで、男性に対して心が開けるようになったし、コミュニケーションを取る方法も知った。男性に自分の要望を伝えてもいいし、セックスももっと自分本位になってもいいと感じるようになれたんです」

 梨花さんは、そう言うと少しだけ微笑んだ。

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菅野久美子

かんの・くみこ
ノンフィクション作家。1982年生まれ。
著書に『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)、『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)などがある。また社会問題や女性の性、生きづらさに関する記事を各種web媒体で多数執筆している。

Twitter @ujimushipro

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