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小野一光「限界風俗嬢」

「初めて」の相手はお客さん……SM嬢が処女を捨てた日

「約束しちゃったし」で処女喪失

「あのさあ、前に取材したときは処女だと話してたじゃない。その後はどうなったの?」
「あ、失くしましたぁ、フフッ」
「それはさっき話したパパ活でのこと?」
「いや、××(SMクラブ)で働いてたときに、すごい仲良くしてくださったお客さんがいて、その人がすっごい本番したがって、私が冗談で、『辞めるときにやらせてあげますから~、もう言わないでください』って言ってたんですけど、そうしたら辞めることになっちゃったんで、そのことを話したら、『じゃあ、入れていいんだよねえ』ってなって……」
「それは最後の出勤日にってこと?」
「いや、SNSで繋がってたんで、辞める前に伝えたんです。そのとき」
「それで向こうが店に来て、やった、と」
「やった、と、ハハハ」
 つまり、前回のインタビューで話していた処女を堅持するとの意思は、その場をやり過ごすための口約束によって、簡単に崩れたことになる。しかし、一旦口にしたことを遵守する姿勢は、彼女もまた律儀というか……。ただまあ、カオルにとって処女というのは、正直どうでもよかったのだろうとも思った。

「相手はいくつくらいの人?」
「えっと、五、六十くらいの人」
「一応聞くけど、そのときはなんか感慨はあった?」
「う~~~~~~ん、いやあ、そこまでなかった、ハハハハハ」
「まあそうだよね。断るのが面倒臭かったとか?」
「なんか、約束したってのもあったし。結局、断るのが苦手なんですよね」
「そのときって痛みはあった?」
「普通にありましたよ。『痛い痛い痛い、イターイ』って、声出してましたもん。向こうはよくイケたなあって思って……ハハ」
 カオルはそのときみずから発した声を模して再現する。
「それ以降って、男性との本番はあったの?」
「今年のパパ活まではなかったです」
「つまり××(SMクラブ)を辞めて一年くらいは風俗、というか性の仕事はやってなかったわけだよね。以前と違ってそちらの収入がなくなるというのはどうだった?」
「そうですねえ、風俗でおカネが入ってたときは、お小遣い帳じゃないですけど、そういうのをつけないで、遣いたいときに遣うって感じで過ごしてたのを、さすがにヤバイなって思って、家計簿じゃないですけど、そういうアプリを(スマホに)入れて、やっていこうってなってました」
「店を辞めた段階で貯金っていくらくらいあったの?」
「一応、百万とか百五十万とかはありました」
「それは減っていった?」
「いや、元からそんなに遣うタチではないんで、逆に給料から毎月貯金をして、金額は増えてますね」
「つまり昼職の給料だけでも、貯金できるくらいはなんとかなるわけね。実家にもおカネは入れてるの?」
「まあ、少ないですけど、一応は」
 私は、ここで疑問に感じていた、給料でやっていけてるのに、なぜパパ活を始めようと思ったのかについて質問した。

カオルが新たに参入した“パパ活”市場。その詳細が明かされる次回は、9月11日(金)更新予定です。

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小野一光

おの・いっこう●1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。
著書に『灼熱のイラク戦場日記』『風俗ライター、戦場へ行く』『新版 家族喰い——尼崎連続変死事件の真相』『震災風俗嬢』『全告白 後妻業の女』『人殺しの論理』『連続殺人犯』などがある。

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