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二宮寿朗「1980年生まれ。戦い続けるアスリート」
スポーツライター二宮寿朗氏が、不惑が迫りながらも、変わらず戦い続ける1980年生まれのアスリートたちの人生に迫る連載。川崎フロンターレ中村憲剛選手のラストとなる第4回目です。初回はプロになるまでの軌跡、2回目は進化し続けるプレイの理由、3回目は中村選手流のコミュニケーションの話をお伝えしました。
最終回は同世代男女にぜひ読んでほしい、若々しい中村選手の「アンチエイジング」的思考に迫ります。

だから若い! 川崎F中村憲剛が心がけている3つの考え方

日々の練習を絶対におろそかにしない。だから、誰よりも若々しい。(撮影/熊谷貫)
日々の練習を絶対におろそかにしない。だから、誰よりも若々しい。(撮影/熊谷貫)

しなきゃいけない”を減らし、ストレスを溜めないから若い。

サッカーが楽しい。練習が楽しい。毎日が楽しい。
40代までもう少しだというのに、心も体もピチピチである。

中村憲剛流、アンチエイジングの秘訣。
その壱、ストレスを溜めないこと――。

コンディション管理に気を配ってはいるが、「人一倍」までいかないことが逆にミソ。あまりに念入りにやってしまうと逆にストレスになるタイプだと自己分析しているからだ。
よく食べて、よく休み、よく練習する。「よく」ができるサイクルができ上がっていれば、それでいい。それ以上を求めなくていい。

「どんな特別なことをやっているんですか、とよく聞かれるんですけど、正直特にないんですよね(笑)。サッカーを仕事だと考えると、勝つ、負けるという結果がついてくるので多少なりともストレスが出てくるのは仕方がない。だから仕事以外は極力、ストレスが掛からないようにしています。簡単に言えば“しなきゃいけない”というのをなるべく減らす。寝る前にストレッチをやらなきゃいけないと決めてしまうと、ストレスになるじゃないですか。僕の場合、体が疲れていたら“まあ、いいか”にしますね」

ストレッチしなきゃいけないではなく、寝たいなら寝る。食べちゃいけないではなく、食べたいものなら食べる。一見、こう記すと本能の赴くままにやっているように思われるかもしれないが、そうではない。彼の言葉を借りるなら「自然の流れでやっている」からストレスが溜まらない仕組みになっているのだ。

ストレッチを例に出そう。

練習が終わると、体のケアに時間を掛けるのは20代半ばからやっていること。お風呂にも入って筋肉をゆっくりとほぐす。これは“しなきゃいけない”の範疇ではなく、24時間のプログラミングに入っていること。ケアが食事や睡眠と同じように、当たり前になっているからストレスに変化しない。ケアをしっかりやっている以上、疲れているなら寝る前のストレッチを飛ばしたっていい。

食事もそう。自分の食べたいものを分かっている奥さんの手料理をしっかり食べるのが基本。睡眠もそう。12時までに寝ると決めているだけ。細かくは設定しなくとも、自然の流れで自分に合う大枠を持っている。テレビでチェックしている海外サッカーも、12時以降は見ない。“見たい”よりも“体を休めたい”が勝るから、これもストレスにならない。

“~したい”は体の声であり、それを聞いてあげる。無理しない、ストレスを溜めない。つまり自分の体と、しっかり向き合っているから体の声が聞ける。その声を大事にするから、体から悲鳴が上がってこない。

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二宮寿朗

にのみや・としお●スポーツライター。1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「サッカー日本代表勝つ準備」(実業之日本社、北條聡氏との共著)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)など。現在、スポーツ報知にて「週刊文蹴」(毎週金曜日)、Number WEBにて「サムライブル―の原材料」(不定期)を好評連載中。

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