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「原作のその先を見せてもらえる映像化に涙。私ほど幸せな原作者はいない」…ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』原作者・爪切男の撮影現場レポート

原作者が原作にない部分で勇気をもらえる幸せな映像化

 最近、親戚に聞いた話なんですが、「ひどいことをいっぱいしたのに、どうしてうちの息子は俺のことを恨んでいないんだ」と酒の席で親父がよく言っているそうだ。
 傍から見れば、世間の常識からすれば、私と親父の関係はちょっと歪んだ親子関係だったと思う。子供の頃の私には親父しか頼る人がいなかったし、親父にも私しか威張れる存在がいなかった。それを分かっていたから、私たちは親子を続けた。どんなに厳しいしつけを受けても親父のことを嫌いにはなれなかった。だから、ちゃんと恨んであげることができぬまま私は大人になってしまった。
 
 ドラマにおける現代編パートは原作にはない完全オリジナルである。であるからして第8話で描かれた私と親父の物語は実際にあった話ではない。なのに、私は心が震えるほど感動し、嗚咽するほどに涙した。長年ずっと心の中に引っかかっていた呪いが解けたような気分だ。原作者が原作にない部分でここまで勇気をもらえるなんてどれだけ幸せな映像化なんだ。
 この素晴らしい第8話を見た今なら素直に言える。親父、私はあんたのことが本当に大っ嫌いで本当に大っ好きでした。

皆川さんがドラマ撮影と並行して出演されていた舞台「ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-」観劇後の一枚。
皆川さんがドラマ撮影と並行して出演されていた舞台「ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-」観劇後の一枚。

ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』はTVerでも!

作家・枝松脛男(木村昴)と担当編集者・片山美晴(新川優愛)コンビはどんな結末を迎えるのか?
作家・枝松脛男(木村昴)と担当編集者・片山美晴(新川優愛)コンビはどんな結末を迎えるのか?

ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』は読売テレビ・日本テレビ系列で毎週木曜日23時59分~24時54分、絶賛放送中。残り9、10話を残すのみ!

親子の愛に涙する8話はTVerでも視聴可能。爪さんのカメオ出演の様子もぜひチェックを!

原作の文庫版も大好評発売中!

単行本・文庫・ドラマともに、素敵なイラストは木村人さん。
単行本・文庫・ドラマともに、素敵なイラストは木村人さん。

「よみタイ」連載を単行本化した『クラスメイトの女子、全員好きでした』が文庫になりました!
小学校から高校までいつもクラスメイトの女子に恋をしていた。きっと誰もが“心の卒業アルバム”を開きたくなる、せつなくておもしろくてやさしい全21篇のセンチメンタル・スクールエッセイ。
単行本未収録の「マリコは悪魔を信じてる」も収録。解説は作家・鈴木涼美さん!

詳細はこちらから!

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爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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