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「手すり滑り」はいつ誰が始めた? スケートボードの歴史からスケーターファッション&カルチャーを完全解説

書籍『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』の増刷が決定しました!
本書は、「smart」元編集長の佐藤誠二朗さんが、モッズ、ヒッピー、ノームコアなど、ストリートスタイルの成り立ちや変遷を詳細に解説した1冊です。

このロングヒット重版を記念して、今回は本書の中から「スケーター」の頁を再編集し、佐藤さんの書き下ろしコメントとともにお届けします!

東京五輪で新競技として採用され、日本人選手の活躍により、この夏、注目度急上昇中のスケートボード。
その歴史を紐解きつつ、流行の社会的背景、ファッションスタイルなど、スケーターカルチャーの変遷をたどります。

本書に掲載されている漫画家の矢沢あいさんが描き下ろしたイラストにもご注目を!

*書籍『ストリート・トラッド 〜メンズファッションは温故知新』から一部抜粋・再編集してお届けします。

『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』より。©︎矢沢漫画制作所/集英社
『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』より。©︎矢沢漫画制作所/集英社

スケートボードの始まり

スケートボードの起源にはふたつの説がある。ひとつは、ローラースケートのタイヤを外し、板に取りつけたという説。もうひとつは、子ども用の木製四輪キックスケーターからハンドルを取り外したものだという説である。
1985年公開の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、1955年の世界へ行ったマイケル・J・フォックス演じる主人公のマーティが、子どもから借りたキックスケーターのハンドルを外して乗りこなし、ドナルド・トランプがモデルといわれる敵役・ビフを翻弄した末にやり込めるシーンが出てくるが、これはスケートボードの起源に関心を持っていた制作者の演出であろう。
いずれにしてもサーファーになりたいのに海が近くになかったり、寒すぎたり、車がなかったり、泳げなかったり、お金がなかったりした者が、車輪付きの板をサーフボードに見立て、ストリートで乗り回しはじめたのが最初のようだ。
これに目をつけたカリフォルニアのローラースケートメーカー、ローラーダービー社が1950年代半ば、〝ローラーサーフィン〞という商品名で世界初のスケートボードを発売する。1960年代にはカリフォルニアのサーファーがこれを使い、サーフィンをイメージしながら遊び出したことから、スケートボードは人気スポーツになっていく。

コントロールしやすく小回りが利くスラローム用スケートボードや、スケート用の台であるランプが開発された1970年代に入ると、現代につながるプレイスタイルやトリック(技)が開発され、競技会なども頻繁に開催されるようになっていく。
しかし、まだその頃のスケートボードは、いつかはサーフィンをやりたいと願っている少年が一度は手を出す遊びに近いスポーツにすぎず、ライフスタイルと呼ばれるほどのカルチャーを伴ったものではなかった。

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新刊紹介

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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