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「美人だね」褒めているのに何が悪い? セクハラの穴に落ちる男たち

「美人だね」の何が悪い?

 セクハラの話になると必ず議題にあがる「美人と褒めて何が悪い?」は、もはや中高年男性(と限定はできませんが)たちの憤懣ふんまんやるかたない大きな疑問の一つ。「いい胸をしてる」「お尻のラインがセクシー」「ふるいつきたくなるようなナイスバディ」など褒めているとはいえ性的な意味合いが明らかな言葉がセクハラだというのは、まだ理解ができる。しかし、キレイだ美人だと褒めることがなぜ不快なのか?
「褒めてやったんだ、素直に喜べばいい」「どれだけひねくれているんだ」と、なぜセクハラになるのか、合点がいきません。

画像/写真AC
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 しかし、「美人だね、キレイだね」は、どんなシチュエーションで発言されることが多い言葉でしょうか。朝のあいさつよろしく「今日も美人だね。若くてキレイな子がいるとオフィスが明るくなる」「取引先の△さんがキミのことを美女だと褒めていたよ。次の打ち合わせもよろしく頼むよ」と、なぜか満足げな上司。
 または社内での会議中、上司が提案していたプランに女性社員が反対意見を述べたとしましょう。女性社員が理路整然とアピールを始めたそのとき「まあまあ、あんまりむきになりなさんな。せっかくの美人が台無しだよ」と、女性社員の発言に苦笑気味に水を差す。
 女性社員が「それとこれとは関係ないです。それセクハラです」と、上司に物申せば、「場を和ますために言ったお世辞まじりのこの発言が不快とは……なんでこうもキーキーと目くじら立てるのか、ヒステリーか? あの日(生理中)か?」と、まるで理解できません。
 言葉だけを取り出せば、美人やキレイはポジティブな意味合いを持つ言葉です。しかし、文脈で考えてみると、「仕事の能力とは関係なく、キレイであることが職場に貢献している」「しょせん容姿のみが能力」「どうせ女子社員の言うことなんて」と言わんばかりの働く女性を軽んじるニュアンスが含まれていることは否めません。

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牟田和恵

むた・かずえ●1956年福岡県生まれ。87年京都大学大学院博士課程退学。佐賀大学教養部講師、助教授を経て、91年甲南女子大学文学部助教授。その後、ハーバード大学、コロンビア大学他で研究員、招聘教授を務める。04年より大阪大学大学院人間科学研究科助教授。
著書に『ジェンダー家族を超えて―近現代の生/性の政治とフェミニズム』(新曜社)、『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書)、編著に『架橋するフェミニズム―歴史・性・暴力』(無料電子書籍)などがある。

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