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学歴にこだわる陰キャはエモ系界隈に逆襲できるのか?【凹沢みなみ×佐川恭一 対談】

X(旧Twitter)で凄まじい反響を呼んだ男子校コメディ『かしこい男は恋しかしない』(以下『かし恋』)のコミックス第1巻がついに発売されました!
刊行を記念して、作者の凹沢みなみさんと、学歴をテーマにした小説を執筆し続ける佐川恭一さんの特別対談を掲載します。
佐川さんのノンフィクション連載「学歴狂の詩」でもコラボするお二人に、『かし恋』誕生秘話や学歴にまつわる思い出など縦横無尽に語っていただきました。

(構成/長瀬海)

☆『かし恋』試し読みはこちらから
対談イメージイラスト/凹沢みなみ
対談イメージイラスト/凹沢みなみ

『かし恋』と『科挙ガチ』の意外な関係

佐川 『かし恋』コミックス発売おめでとうございます! しかしこれ、毎月読ませていただいてますけど信じられないぐらい面白いですね。セリフのセンスも抜群ですし、少女漫画でやっていいのかって方向にカマされてるギャグのレベルも圧倒的に高い。この作品は3人組の男子高校生が主人公ですけど、まずツッコミ役に意地悪な性格のシグマがいますよね。彼の冷笑的なツッコミだけでも十分笑えるのに、別方向から作者のナレーション的なツッコミもあるのがすごく効いてると思います。技術的にもかなり難しいことをさらりとやられているなという印象で、僕はこれをめちゃくちゃ高度なギャグ漫画として読んでいるんですけど。やっぱり『別マ』のなかでも異彩を放ってますよね(笑)。

凹沢 佐川さんにそう言っていただけるとすっごい嬉しいです。私も佐川さんの小説、大好きでずっと拝読していたので、なんだか照れますね(笑)。

佐川 いやーありがとうございます! 漫画家さんに読んでもらえてるのってすごく嬉しいです。凹沢さんにまず聞きたいんですけど、『かし恋』って学歴がテーマに設定されてますよね。これって少女漫画ではどう考えても異例のことだと思うんですが、どんな経緯で学歴でいこうっていう流れになったんですか? 企画を通すハードルもなかなか高そうに思えるんですけど。

凹沢 この3人組を使った、共学の陰キャたちが無印良品の女店員さんに恋をする漫画を一年前に読切で描いたんです。彼らを使ってまた何かやりたいなって思ってるところに、『別マ』の今の編集長が「名門男子校を舞台にしてみたら?」って提案してくれて。ちょうど私の担当編集者のTさんが男子校出身だったので、参考になるお話をたくさん聞かせていただくこともできました。私は「自称進学校」の共学出身なんですけど、男子校って全くの別世界で新鮮なんですね。このネタを使って、『別マ』でちょっとかましてやろうって気持ちが膨らんでいった結果できたのが、この作品です(笑)。

佐川 編集長もなかなか攻めてますね(笑)。でも他人から話を聞くだけでここまで描けるのはマジですごいですよ。解像度がすごく高いから、男子校出身の僕が読んでも違和感が全くない。

佐川恭一のお気に入りシーン。共学カップルに心をざわつかせられ、相手の高校の進学実績を調べて精神の安定を保とうとする主人公・正直(まさなお)。偏差値でなく、進学実績なのがリアル。
佐川恭一のお気に入りシーン。共学カップルに心をざわつかせられ、相手の高校の進学実績を調べて精神の安定を保とうとする主人公・正直(まさなお)。偏差値でなく、進学実績なのがリアル。

凹沢 ひとえにTさんのおかげですね。あと私、陰キャを描くのは好きだし、得意なんです。家族に二人兄がいるんですが、どっちもかなりの陰キャでして、いわば、陰キャ界のサラブレットとして育ちました(笑)。

佐川 あっははは! じゃあ小さいころからお兄さんに地肩を作ってもらってた感じですね(笑)。

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新刊紹介

凹沢みなみ

おうさわ・みなみ
漫画家。出身・学歴非公開。別冊マーガレットで『かしこい男は恋しかしない』を連載中。過去作に『星子画報』など。
X(旧Twitter) @BmgHoshiko

佐川恭一

さがわ・きょういち
滋賀県出身、京都大学文学部卒業。2012年『終わりなき不在』でデビュー。2019年『踊る阿呆』で第2回阿波しらさぎ文学賞受賞。著書に『無能男』『ダムヤーク』『舞踏会』『シン・サークルクラッシャー麻紀』『清朝時代にタイムスリップしたので科挙ガチってみた』など。
X(旧Twitter) @kyoichi_sagawa

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