2022.10.22
「身近な人と死について話すきっかけにしてもらえたら」。看護師で漫画家の明さんが新刊 『いのちの教室』で伝えたかったこと
――明さんの手書きのやることリスト、見てみたいです。
いやー、字が汚いのがコンプレックスで……。実は、漫画の中の手書き文字も、字がキレイな友人に書いてもらったものを、上からなぞっているんです。でも、キレイな字を真似して書いていたら、ちょっとは上手くなってきた気もします。
――意外な真実!(笑) リストといえば、今回の作品の中にも「やりたいことリスト」をつくるエピソードが登場しますね。
人生の時間は限られている中で、やりたいことはたくさんあるので、一つひとつやっていかないと、と。
やりたいことリストの中に「○○博物館に行く」というのがあれば、先にチケットを取ってしまうこともあります。行ける日になったら行こうと思っても、なかなか実現できないことも多いので。結果として博物館に行く予定をしていた日に友達から会おうとお誘いがあって、お金を無駄にしたこともあるのですが、何もやらないよりはいいと思っているんです。
――「後悔しないように生きよう」というメッセージは、今作からも伝わってきました。
「生」や「死」については、人によって考え方や感じ方が本当に様々です。自分が死ぬことが怖くて仕方がない人もいれば、身近な人を看取ったばかりで悲しみや後悔の渦中にいる人もいるはずで、今回の全13話も、それぞれの経験や立場によって響く部分が違うと思います。だからこそ、様々なエピソードを描きました。出会った人や出来事について、私がどう感じたかを素直に描いたので、今度はそれを読んだみなさんが何を思ったのか、どのエピソードに自分が共感したのかなど、向き合ってもらえたらと思っています。
――「死」や「看取り」について、あらためて伝えたいことはありますか。
私も祖父母を亡くしたときになりましたが、大切な人が亡くなった時に、3ヶ月とか、人によっては1年とか2年とか、何も手につかなくなるほど気が滅入ってしまうというのは、誰にでも起こりうる正常な反応なんです。まずそれを知っておいてほしいと思います。
身近な人の最期が近づいて、亡くなったら、「もっとああすればよかった」と後悔が押し寄せるのも当然のこと。だからこそ、その後悔を少しでも和らげるためにも、どう生きて、どういう最期を迎えたいか、日頃から親しい人と会話ができるようになっていればいいなと思います。
自分の考えは相手とは違うかもしれないし、それを押し付けてしまうと相手を傷つけることになってしまうかもしれない。でも、自分の気持ちを伝えなければ、後悔がのこってしまいます。
『いのちの教室 あなたの最期が私に教えてくれたこと』を読むことで、「こんな漫画を読んで、私はこう思ったんだけど、あなたはどう?」とか、近しい人との会話のきっかけになれば嬉しいです。
10月26日発売! 『いのちの教室 あなたの最期が私に教えてくれたこと』
『いのちの教室 あなたの最期が私に教えてくれたこと』は、病棟看護師として多くの死を看取り、また自身の家族の看取りも経験した、『漫画家しながらツアーナースしています。』シリーズの著者、明さんが描くヒューマンコミックエッセイ。
「新人時代から長く付き合う患者さんとの最期の時間」
「一家を支える元気なパパが突然死してしまった家族」
「認知症の妻を最期の瞬間まで待った夫の奇跡」
「最期の迎え方の考えが異なる家族と患者」
「自宅で最期を迎えたい父と家族を想う長女の本音」
など、誰しもが必ず経験する物語を、やさしくやわらかなタッチで描く全13話。
発売は10月26日(水)! ただいま予約受付中です。