2022.10.22
「身近な人と死について話すきっかけにしてもらえたら」。看護師で漫画家の明さんが新刊 『いのちの教室』で伝えたかったこと
宇宙に住みたくて看護の道へ!?
――今作では、看護師と漫画家の“二足のわらじ”に挑戦することになった経緯も描かれていますが、そもそも看護師になろうと思ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。
それを正直に話すと、ものすごく、くだらない話になってしまうのですが……。
――くだらない話をぜひお聞きしたいです(笑)。
中学生の時に『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』というミニ四駆レースのアニメにハマって、それに登場するアメリカ代表のチームが、宇宙工学を学んでいる宇宙飛行士の卵たちなんです。宇宙に行く訓練のためにミニ四駆をやっているという設定で。
それがものすごくカッコよくて、「私もいつか宇宙に行きたい!」と思ったんです。それで、宇宙で生活するなら、医学系を学んでおくといいだろうと……。
――宇宙飛行士になろう、とはならなかったんですね。
宇宙飛行士になりたいわけではなくて、宇宙で生活がしたかったので。そのために必要な知識は医学だろうと。
――では看護師になられたのは、宇宙に住む夢の過程なんですね! 今も漫画家として活動を続けながら看護師として働かれているのでしょうか。
『漫画家しながらツアーナースしています。』を描いていた頃は、修学旅行などに同行するツアーナースとして働いていたのですが、ちょうど連載が終わった頃に新型コロナウイルスの問題が出て、ツアーナースの仕事がなくなって。今は、看護師さんが読む教科書をつくるお手伝いをしています。国内外の看護学者がまとめた論文など文献や資料をたくさん読んで、看護学生や現役の看護師さんにわかりやすく伝わるように本にまとめる仕事なんですけど、これがすっごく楽しくて! 看護師と、漫画家として表現する仕事の両方をやってきたからこそ声をかけていただいた仕事なので、両方やってきて本当に良かったなと思っています。
特に看護師の思考過程について論理的に学び直せたことは大きかったです。たとえば患者さんに高熱が出た時に、ただ「怖い! 大変だ!」と思うのではなく、どのようなプロセスで考えていけば適切な対処にたどり着くのかを知っていると、根拠をもって看護ができます。この理論をしっかり理解できたことは、現場に戻っても役立つと思います。
――ツアーナースとして復帰する可能性も?
そうですね、徐々にツアーナースの募集も再開してきています。でも私は、変異株の問題などもあり、自分自身がどのあたりからツアーナースができる技量があるのか、まだ考えているところです。いずれ落ち着いたらやりたいとは思っています。