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もし『妻が口をきいてくれません』夫妻が離婚を望んだら? 弁護士・南和行さんがアドバイス

鈍感な夫を選んだ妻にも落ち度がある

たしかに美咲さんのイライラや不幸感は、
誠さんの無理解や鈍感、さらには過剰な甘えといった、「誠さんのせい」かもしれません。

でも、美咲さんも無理に結婚させられたのではなく、
それなりに誠さんと自分は「良い夫婦になれるかも」と思って、結婚したのだと思うのです。
誠さんのダメなところに気付かなかったのは、美咲さん自身なんだけどなとも思いました。

単行本『妻が口をきいてくれません』より。
単行本『妻が口をきいてくれません』より。

美咲さんが責任を一手に引き受ける必要はないですが、
過去の自分の選択が自分自身の失敗だったかもしれないと、
誠さんを選んだ自分の落ち度を冷静に引き取ることができれば、

誠さんに対する怒りを頑なに持続させるという
どうしようもなく無駄な時間とエネルギーを使ったり、
子どもたちに気を遣わせたりすることもなく、
何かしらのソフトランディングがあったのではないか
と思わざるを得ませんでした。

単行本『妻が口をきいてくれません』より。
単行本『妻が口をきいてくれません』より。

とはいえ、誠さんはあまりに鈍感すぎる
こんな状態になっても、美咲さんを「ママ」と呼び続けるとか、
さらに丸山さん、いやもちろん丸山さん(伊東さん)は素敵な方ですが、
丸山さんに何でもかんでもベラベラ相談するのとか、
人としての自律があまりに欠けていて、「ないわぁ……」と思いました
他人だからトホホでいいけど、そりゃ夫だったら怒るわな、と。

ただ、読んでいるあいだずっと、5年にわたる緊張感がヒシヒシと伝わってきたので、
読み終わったときは、本を開いたまま僕も涙がホロり。
何の涙かはわかりませんが……。

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南和行

みなみ・かずゆき●1976年大阪府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了後、大阪市立大学法科大学院にて法律を学ぶ。2009年弁護士登録(大阪弁護士会、現在まで)。2011年に同性パートナーの弁護士・吉田昌史と結婚式を挙げ、13年に二人で弁護士事務所「なんもり法律事務所」を大阪・南森町に立ち上げる。一般の民事事件のほか、離婚・男女問題や無戸籍問題など家事事件を多く取り扱う。著書に『同性婚―私たち弁護士夫夫です』(祥伝社新書)、『僕たちのカラフルな毎日―弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記』(産業編集センター)がある。
大阪の下町で法律事務所を営む弁護士の男性カップルを追った、本人とパートナー出演のドキュメンタリー映画『愛と法』(監督:戸田ひかる)は、2017年の第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞し、2018年全国上映で好評を博す。タレント弁護士として、テレビ番組へのコメンテーター出演やドラマ・映画の監修なども手掛ける。
・なんもり法律事務所
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