2021.12.9
「ウッドショックは希望の光」紀州の林業王が語る、国産木材への思いと林業の未来
趣味はワインと芸術鑑賞、娘はプロの声楽家!
――プライベートではどんなことに時間やお金を使われていますか。
最近はワインでしょうか。ついつい美味しいものを求めてしまって……(笑)。でもそんなに高いワインは買いませんよ。手頃で美味しいものが好きです。
芸術が好きなので、国内の美術館にはたくさん行きましたし、フランスとかイギリスとか、海外の美術館に足を運んだこともあります。
あと趣味といえば声楽でしょうか。東京の声楽の先生に、オペラのアリアなどを習っています。20名ほどの仲間とコーラスグループも作っていて、2020年には台湾音楽祭に招待されていたのですが、コロナで中止となってしまい、残念でした。地元では、「田辺第九合唱団」で30年以上「第九」を歌い続けてきました。
どうもうちの一家は歌が好きな人が多いようで、父もカラオケが得意でしたし、娘はドイツの国立フライブルク音楽大学を首席で卒業して、プロのソプラノ歌手として活動しています。この娘はフランス人のビオラ奏者と結婚して、スイスのチューリッヒに住んでいるんですよ。コロナが落ち着いたら会いに行きたいものです。
――芸術一家でいらっしゃるんですね!
芸術は、日々の生活に潤いと彩りをもたらすものだと考えています。ずっと芸術が好きだったことで、創造に対する敬意とか、良いものを見極める目は養われたのではないかな、と思っているんです。そういう視点は、より良い木材へのこだわりや、新しい木製商品の開発などには通じているのかもしれません。私は芸術家ではありませんが、家業の林業を通して、うちの木を使って生活する人の心を豊かにできれば、という思いです。
――最後に、会長の夢を教えてください。
実は、11代目社長に就任した長男を、2017年に病で亡くしました。現在当社の社長の座は空席、というか、天国の息子ということにしているんです。息子を失ったことは、父としても会長としてもとても悲しいことですが、社員から慕われ、経営者としての将来に大きな夢を抱いていた彼の遺志をしっかりと受け継ぎ、彼の分も、紀州の林業の発展に尽力していきたいと考えています。
また、林業に限らず企業というのは、時代の流れに順応していかなくてはなりません。これからは持続可能な林業・製材業を目指し、低炭素社会に向けた取り組みなどにも積極的に対応していきたいと考えています。
消費者の皆さんにも、ぜひ和歌山の山に足を運んでいただき、木材が生まれ育つ場所を、実際に見ていただけたら嬉しいです。