2021.12.5
麻薬生産地がコーヒー豆の産地へ⁉︎ 軽井沢のコーヒー好きが注目するタイ北部産「ナンコーヒー」の魅力
それが、かつて麻薬の生産地だったタイ北部・ナン県で栽培されている「ナンコーヒー」。
コーヒー豆といえば、エチオピアやブラジル産が知られていますが、なぜ軽井沢でタイコーヒーなのでしょうか。
関係者に話を聞きました。
(構成・文/よみタイ編集部)
麻薬の原産地から良質なコーヒー豆の産地へ
「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれるタイ、ミャンマー、ラオスの国境沿いの山岳地帯。ここはかつて、麻薬の原料となるケシの一大生産地でした。
ここで暮らす少数民族たちにとって、麻薬栽培は貴重な収入源でしたが、その利用によって彼らの健康被害も深刻化。また、ケシの焼畑農業によって森林破壊も進んでいました。
この状況を重く見たタイ国王「ラーマ9世」が中心となり、1988年に発足したのが「ドイトン開発プロジェクト」です。
ラーマ9世は、この地域で行われていた焼畑農業による環境破壊と麻薬を撲滅し、山岳地方に住む人々を救済するためケシの代わりになるコーヒーの栽培を促しました。
プロジェクトの発足から約30年経った現在、その品質が高く評価されるようになり、かつてのケシ畑は、良質なコーヒー豆の産地となっています。
そうした農園の一つに、「LAPIAN COFFEE FARM(ラピアン・コーヒー・ファーム)」があります。
ラオスと隣接するタイ・ナン県にある農園で、オーナーは山岳少数民族モン族の末裔です。モン族はもともと中国の長江周辺に暮らしていましたが、中央政府の干渉を避けて次第に山間へ移住し、その一部が雲南省を経てベトナム、ラオス、そしてタイの北部地方へ移り住むようになったようです。そして、ナン県ターワンパー郡でケシやマリファナを栽培していましたが、タイ政府の呼びかけで、コーヒー農園へと生まれ変わらせました。
このラピアン農園で栽培されたコーヒーを、日本で唯一輸入する会社が、長野県佐久市にあります。
なぜ、ナンコーヒーを仕入れることになったのでしょうか。話を聞きました。