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「リサイクル優秀国」は幻想だった!? 「食品ロス削減の日」に知っておきたい日本のSDGsの真実

キーワード1:温暖化〜食品ロスと気候変動の密接な関係

18世紀の産業革命以降、二酸化炭素の排出が増え続け、地球の温暖化が深刻化しています。
地球の平均気温が上昇すると、嵐など、異常気象の頻度が上がったり、伝染病を媒介する蚊などの生息域が広がったりなど、世界中の人々の生活を脅かすリスクが高まります。
このため、国や企業が、二酸化炭素を始めとする温室効果ガス削減に取り組んでいます。
……と、ここまではご存知の方が多いと思います。しかし、実は、私たちの日常生活と密に関わる食品ロスこそが温暖化の“主犯格”である、と認識している方はどれだけいるでしょうか。

食品を捨てると、ごみ処理場で生ごみを焼却処分するのに膨大なコストを使い、気候変動に悪影響を与える温室効果ガスを出すことになります。

環境NPOのWRI(世界資源研究所)がまとめたデータ(2011〜2012年)によると、食品ロスから排出される温室効果ガスの量は8.2%で、飛行機から排出される1.4%よりもずっと多くなっています。

また、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)のレポート「気候変動と土地」では、2010〜2016年に排出された温室効果ガスのうち、8~10%は食品ロスから出たものと推定されており、自動車から排出される量(10.0%)とほぼ同じだと報告されています。

キーワード2:ごみ焼却〜日本はリサイクル優秀国ではなかった!?

日本では、捨てられた食品は生ごみとして焼却処分される場合がほとんどです。
2017年のOECDのデータによれば、日本のごみ焼却量は3500万トン近くで、世界最多でした。

「ごみ焼却量が多くても日本は高い技術でリサイクルをしているのだからいいのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、実は、ここにも盲点があるのです。

日本の主なリサイクル方法は「サーマルリサイクル(熱回収)」です。
サーマルリサイクルとは、廃棄物の焼却時に生じる熱を再利用する手法のこと。焼却施設に隣接する公共の温水プールや浴場を利用したことがある人も多いのではないでしょうか。

リサイクルには、このサーマルリサイクルの他に、「マテリアルリサイクル=廃棄物を再び原材料として再利用する」と「ケミカルリサイクル=廃プラスチック等を化学的に分解し化学原料として再生する」があります。

世界的には、「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」は環境に良いリサイクル方法として認められていますが、「サーマルリサイクル」は、“リサイクル”とはみなさないというのが標準になっています。サーマル方法の場合、焼却の際に発生する熱が他のことに利用できるだけで、捨てられたものそれ自体が形を変えて再利用されているわけではなく、また、焼却の場合、二酸化炭素やダイオキシンの発生をゼロに抑えることは難しいからです。

日本は「リサイクル率84%」という高い数字を誇っています。しかし、このほとんどがサーマルリサイクルによるもので、実は世界基準で見ると、日本は決してリサイクル率の高い国ではありません。

OECDが2013年に調査した『廃棄物処理とリサイクル』のデータによれば、日本のリサイクル率はわずか19%でした。

さらに、ごみ焼却には、私たちの税金も投資されています。

2017年に行われた京都市の調査では4人家族で年間5万6000円の食料が捨てられていることが明らかになりました。そのごみを処理するのに4000円かかります。これを日本全国で換算すると年間11.1兆円を失っていることになります。

私たちが今すぐできる対策としては、生ごみを捨てる際に、できるだけ水分を減らすこと。生ごみの80%は水分だからです。これを減らすだけでも処理に必要なエネルギーを減らすことができます。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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