2020.10.21
デキる人は自分への批判は受け止めるのに褒め上手! 仕事が捗るコミュニケーション術~漫画家・秋本治の仕事術その3
Q.部下や後輩と信頼関係を築くコツは?
最近は働き方や雇用関係が多様化しているため、職場の人間関係も少々複雑なものに。パワハラやモラハラに対する世間の目が厳しくなっていることもあり、部下やスタッフの育成・指導に頭を悩ませている人も多いことでしょう。
さらにここへきて一気にリモートワークが浸透したことで、これまでのように「背中を見せて育てる」「ランチや飲み会でコミュニケーションを図ってフォローする」といった指導法はもはや通用しなくなってきました。
いくらチームや部下のためを思って指導をしても、日頃の信頼関係がなければ響きません。とはいえ、仲良しこよしの馴れ合いになってしまうのも考え物。
部下や後輩と適切で良好な関係を築いて、仕事をスムーズに進めるためにはどうしたらいいのでしょうか。
複数のアシスタントさんとともにチームで作品づくりを行っている秋本さんが日々意識しているコミュニケーションの基本がこちらです。
A.部下やスタッフを信頼して褒めると自分の仕事も気持ちよく進む
僕はアシスタントに対して、厳しい態度で接することはまったくありません。ベースには、“マンガは本来一人でつくるもの”という考えがあるのだと思います。それを手伝ってもらっているわけですから、感謝こそすれ怒ることなどあるはずがありません。
もちろん日々の仕事の中では、「こういう線で描いて」などとアシスタントに指示することはありますが、師匠や上司として上に立っているような感覚ではありません。それに、僕のアシスタントは信頼できる人ばかりですので、希望通りのものをすぐに描いてくれます。ただ感謝するばかりなのです。
ほかの漫画家さんの制作現場のことはよく知りませんが、中にはそうとう厳しい人もいると思います。そこは十人十色で、何が正しいということはないのでしょう。
僕は漫画家のアシスタントをした経験がないのですが、アニメーターをやっていたころが修行時代。アニメーターの先輩には、優しい人も厳しい人もいました。そして厳しく指導されたことはあまり記憶に残っていないのですが、「この線はすごくいいと思うんだよね。良いクリーンナップだね」などと褒めてもらったことは、とても鮮明に覚えています。そうした経験が、僕のアシスタントへの接し方に反映されているのかもしれません。
マンガの仕事に携わっている人は、100%がマンガ好きだと思います。自分が好きなことを仕事にしているわけですから、そもそもやる気のない人を見ることもありません。だから、尻を叩く必要もないのでしょう。ただし忙しい日々ですから、肉体的に疲れているなと思うことはときどきあります。そんなときはシンプルに、「どう?」「大丈夫?」と、声をかけるようにしています。
部下やスタッフを褒め、感謝し、気遣うことで、自分の仕事も気持ちよく進むのではないかと思います。
秋本治流、長く、面白く仕事をする秘訣がこの1冊に!
漫画家・秋本治さんによる初のビジネス指南書『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』では、今回取り上げた時間術の他にも、
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