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紀州のアクリル王に直撃取材! コロナ対策で需要マシマシの「アクリル」、その意外な歴史と業界事情とは?

――それは……絵に描いたようなエリート街道まっしぐらですね。

まあそうですね(笑)。博士論文も書いたんですけど教授が認めてくれなくて、その時点でアメリカの大学には6年いたからもういいかと思って、博士課程は中退して日本に戻りました。就職活動をして、採用してくれた外資系銀行の東京支社に入って、トレーディングの仕事をしました。ニューヨークに赴任していた時期もあります。

――地元に帰ったのはいつ、どのようなきっかけだったのでしょうか。

36歳の頃に祖父が亡くなったことが大きかったですね。若い頃は地元愛の自覚はありませんでしたが、一から事業をはじめて大きくしていった祖父のことは子供の頃から尊敬していました。その祖父が、僕が事業を継ぐことを望んでいたので、地元に帰ることにしました。

アクリルとボタンの製造技術を融合したカナセ独自の「アクリルボタン」も業界の注目を集めている。(画像提供/株式会社カナセ)
アクリルとボタンの製造技術を融合したカナセ独自の「アクリルボタン」も業界の注目を集めている。(画像提供/株式会社カナセ)

――国際政治や金融の世界への未練はなかったのでしょうか。

その時はもう未練はなかったですね。外資の銀行にいると、リアルに物を作ったり扱ったりするわけではないのに、パソコンに数字を打ち込むだけで1000億円というお金もすぐに調達できてしまうし、自分にも数千万という給料が振り込まれます。それが僕にとってはすごく不自然に思えたんですよね。
たとえば地元の寿司屋さんでは「生ものを仕入れて今日売れなかったらどうしよう」と日々悩みながら工夫して経営しているわけです。そうやってお金を稼ぐ方が大変だけど、銀行の仕事よりずっと自然だなと思いました。それで迷いなく、祖父の始めた製造の家業を継ぎたいと思ったんです。
ただ、金銭感覚だけは30代の銀行マンの頃から変わらなくて(笑)。長距離の飛行機はファーストクラス以外乗ったことがありません。

――まさに紀州のアクリル王らしいご発言ですね! 完全に好奇心でお聞きするのですが、社長はプライベートではどんなことにお金を使われるのでしょうか。

最近は、趣味のゴルフですかね。クラブも新しいのが出るとついつい買ってしまって。でも中古で売ると半分くらいは返ってくるので、そんなに大した額ではないと思いますよ。昔、六本木や銀座のクラブで使っていた額に比べたら全然(笑)。飲む方のクラブで使った額は、秘密です。というか、自分でも計算していないのでわかりません。

――女性にもおモテになるのでは……?

クラブの女の子と同伴することはありますけどね。彼女たちが好きなのは、僕のクレジットカードですから(笑)。僕自身は、せっかく同じ時間を過ごすなら波長が合う人といる方が楽しいと思うくらいで、女性に対する好みとかこだわりはあまりないんですよ。食べ物の好き嫌いもないですし。苦手なものは、温かいビールと冷たい女性、それだけです。
現在は東京と和歌山2箇所に自宅があるのですが、コロナ禍になってからはあまり出かけることもできず、おとなしいものですよ。もっぱらNetflixで『THE BLACKLIST/ブラックリスト』とか、海外ドラマを観るのが楽しみです。

――金谷社長の今後の夢や抱負を教えてください。

感染防止のアクリル板は、本来は世の中からなくなった方がいいですよね。
でも今回の非常事態に、私が祖父や父から受け継いできた事業の技術が求められたことはありがたいですし、うちで頑張ってくれている職人や従業員の力が社会の役に立ったことを誇らしくも思っています。
今後も質の高いボタンとアクリルの製造を通して、地元和歌山の魅力やパワーを発信していきたいです。
コロナが落ち着いたら、ぜひたくさんの方に田辺市や上富田町にいらしていただきたいですね。本社のすぐそばには「蘇りの道」として古くから信仰されている熊野古道が通っていて、自然や歴史文化が感じられる場所です。
いらした際には「こういうところでバスケットボードは作られているのか」などと、うちのアクリルのことも思い出していただけたら嬉しいです。

身近な生活を支えるアクリルにご注目を!(画像提供/株式会社カナセ)
身近な生活を支えるアクリルにご注目を!(画像提供/株式会社カナセ)
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