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紀州のアクリル王に直撃取材! コロナ対策で需要マシマシの「アクリル」、その意外な歴史と業界事情とは?

2020年以降、「アクリル板」というワードをよく耳にするようになりました。新型コロナウイルスの感染防止対策として、飲食店の間仕切りなどに使われるようになった、あの透明の板です。
ここ1、2年の日常生活で急に意識するようになったその存在。そもそもアクリル板とは何なのか、どんなふうに作られているのか。調べてみると意外なことがわかってきました。
(構成・文/よみタイ編集部)

そもそもアクリル板とは何なのか?

アクリル板とは、アクリル樹脂で作られた板のこと。
アクリル樹脂は、正確には「ポリメチルメタクリレート樹脂」(PMMA)という合成樹脂で、プラスチックの一種です。

最近ではすっかりおなじみとなったアクリル板で仕切られた空間。
最近ではすっかりおなじみとなったアクリル板で仕切られた空間。

プラスチックの中でも透明性と耐衝撃性の高さが特徴で、光線透過率(透明度)はガラスを凌ぐ94%もあります。耐衝撃強度はガラス1に対し、10~16倍で、万が一破損してもガラスのように飛び散ることがありません。

アクリル樹脂を板状に製造したものが一般的に「アクリル」や「アクリル板」と呼ばれています。
アクリルは1934年に工業化され、当初は戦闘機の風防など、主に軍事用に重宝されていました。

実はコロナ前からものすごく身近な存在だった

高い透明性と優れた耐衝撃性、屋外でも劣化しない耐候性をあわせもち、切断や張り合わせ、曲げなど加工の自由度も高いアクリルは、「夢のプラスチック」「プラスチックの女王」とも呼ばれています。

もっともメジャーな用途が、電飾看板です。「内照式看板」と呼ばれるもので、店名などが書かれたアクリル板の内部にLED照明や蛍光灯などを設置して、中から照らすことで看板全体をムラなく照らすことができます。

街のいたるところで見かける看板にアクリルが使われている。
街のいたるところで見かける看板にアクリルが使われている。

ほかにも、洋服や化粧品などが並ぶショップのディスプレイ棚や、スマートフォンカバー、水族館の水槽、博物館の展示箱、キッチンボード、プレジャーボートの風防、バスケットボードなどなど、アクリルは様々な製品に活用されています。

感染防止対策のパーテーションとしてよく目にするようになるずっと前から、暮らしの様々な場面でとてもお世話になっていたのです。

日本のアクリル製造を担う企業が和歌山に?

アクリルの国内需要は年間約3万5000トン。このうち、輸入が約7000トンを占め、国内生産量は、約2万8000トンです。金額ベースでは250億円規模の市場となっています。
2020年は“コロナ特需”で、一時的ではあるものの、国内需要が約5割増になったといわれています。

そのトップシェアを担う企業として名を連ねるのは、三菱ケミカルや住友化学、クラレなど、東京に本社がある従業員数万人規模の会社ばかりです。

しかしその中に、和歌山県上富田町に本社を置く「株式会社カナセ」の名前が。

少し調べてみると、年間約4000トンのアクリルが、この和歌山にある、従業員200人規模の会社で作られているようなのです。

和歌山県上富田町といえば世界遺産・熊野古道が通ることでも知られる、のどかな町。
一体なぜ、地方の一企業が日本のアクリル製造を支えるまでになったのでしょうか。
株式会社カナセの金谷清道社長に直撃取材しました!

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