2020.10.5
【特別対談】人気占い師・しいたけ.さんに訊く! 川村エミコの「運命の人」
エッセイの中で、40代女子の彷徨える恋愛観を赤裸々に綴っています。
「明日どこ行きたい?」に「嫁に行きたい!」と即答する川村さん。
「しいたけ占い」で大人気の占い師・しいたけ.さんをお迎えして、川村さんの恋愛の道しるべとなるお話を伺いました。
対談前編では、川村さんの「運命の人」像に迫ります。
(構成/よみタイ編集部、撮影/齊藤晴香)
なんの解決策もないことの「良さ」
川村 この度はお忙しい中ありがとうございます。
しいたけ. こちらこそありがとうございます。3年ぶりくらいですよね。
川村 3年前に、有田哲平さんの番組で、しいたけ.さんに占っていただいて。その時「このタイプの人は文章を書くと輝く」ってリーディングしていただいたんですよ。
今回、連載したエッセイが本になることになりまして、改めてその占いの結果を思い出して……。あれ、私、文章を書いたけど、輝いているのかな?って。それを聞きたくて、しいたけ.さんに来ていただきました(笑)。
私、輝いていますか!?
しいたけ. はい、輝いています(笑)。上から目線に聞こえたら申し訳ないですけど、川村さんのエッセイは、視点がすごく面白かったです。
川村 ありがとうございます。私、「怒られたくないけど怒られたい願望」があるので、上から目線でも感想いただけるとありがたいです。
しいたけ. でも受け入れられないことは「ム」の顔になってシャットアウトしちゃうんですよね(笑)。予備校時代に「主人公理論」を説いたDくんに対してとか。(※編集部注:単行本収録の「私の中のずーっとヒーロー」に出てくる男子)
川村 そうです。 予備校の先生に目をつけられている私をよっぽど心配したのか、ある日Dくんが「川村の人生の主人公は、川村だからな!」って声かけてくれたんですけど、私は「え?」と思っちゃって「ム」の顔ですよ(笑)。
主人公理論の考え方はわかるけど、それを前面に出されても……と。そういうのは心に秘めていてほしいというか、押し出すのは美しくない、と思っちゃうんですよね。
そんなDくんにもこういういいところがあるんだよ、と教えてくれたのがヒーローのIくんですね。今でも1番素敵だと思うのはIくん。男の人と話していても、Iくんだったらこんなこと言わないのにな、とか思っちゃうんですよ。ある意味で、記憶の良さが邪魔をしているというか……ってヤダ、本当にちゃんと読んでくださっているんですね!
しいたけ. 読んでますよ。僕も本を書くことがあるからわかるんですけど、自分自身のことを書くのって、まず書き出しが難しいと思うんですよね。
でも川村さんのエッセイは1ページ目から爆弾発言みたいなのが続くなと思って。幼稚園の先生の話とかも……。
川村 幼稚園の先生たちが「あの子静かで嫌だわ〜」「楽でいいじゃない」って私のことを話していたのを聞いてしまって。その日の夜から大きい家具に追いかけられる夢を見るようになったんですけど。
しいたけ. 小さな子にとっては、地中に落とされるような発言ですよね。
川村 それまでは静かなことが悪いとは思ってなかったから、子ども心にショックだったんでしょうね。
幼稚園だけでなく、先生に目をつけられやすいというか、「先生」という立場の人には概ね好かれてこなかったです。何を考えているのかわからないところがあったのかもしれませんね。先生は良かれと思って救ってあげようとしたのに、意外に図太かったりとか。
しいたけ. この本を読んでいいなと思ったのは、情けない部分も書いてあったこと。こけしへの愛以外に、これといった解決策がないまま、ある種の迷子のまま終わっているというのがすごく素敵だなと思ったし、そこに僕自身とても共感できました。
エピローグに「あの人に○○と言われた言葉を胸に生きていきます」みたいな、とりあえずの答えみたいなことが書いてあったら、かえってモヤっとしたと思う。
今の世の中は、ハッピーエンドにしなきゃいけないっていう強迫観念が強すぎる。無理にハッピーエンドにする必要はなくて、迷ったままの方が、読んだ人にとっても“ここからの話”になるのでとてもよかったと思います。
最近は、個性を身につけて、自分の看板を持って、「私ってこういう人です」って自分の取り扱い方をうまく説明できるような人が成功する風潮があると思うんです。でも人間って、そんな単純なものじゃないじゃないですか。
川村 そうなんです。私もうすぐ41歳になるんですけど、ずっと迷子で、迷路を彷徨っているんです! そんな私はこれからどうやって生きていったらよいのでしょうか!? それをお聞きしたくて……。
芸人ですから、アウトプットの仕方は色々持っているし、日々変化していると思うんですけど、最初に「こう感じる、こう思う」という角度は変えられないと思うんですよね。
それから、やっぱり結婚したいなと思っていて……。できればおじいちゃんとおばあちゃんになっても手を繋いで歩いていたい。私にはどんな人が合うのか、しいたけ.さんのご意見を伺いたいです。
40になっても結婚できていないということは、自分に合う男性というものの、そもそもの見立てが間違っていたから失敗してきたということだと思うのですが……。
しいたけ. うんうん。
川村 ちょっと! そこで「うんうん」って認めないでくださいよ!
しいたけ. いやいや、これはYESの「うん」ではなく、uh-huhの相槌です! びっくりした(笑)。