2020.4.4
新型コロナウイルスにも負けない!! 最大の難敵に立ち向かうレースクイーンたちの秘策と、“これから”
およそ1年にわたり、おかげさまで好評を博したこの連載も、いよいよファイナル。
前回は、看護師をはじめ、WEBデザイナーや音大卒のチアリーダーなどのユニークな経歴を持つ女子たちが、レースクイーンという職業を選んだ理由についてリポートしました。
最終回は、本来ならばレースシーズンが開幕したこのタイミングで、盛り上がりつつあるレースクイーン文化の未来予想図について徹底取材を行う予定でしたが、予期せぬ新型コロナウイルスの襲来によって、状況が一変。そこでレースの中止、延期など大打撃を被りながらも、レースクイーンやその関係者たちが、今後どのように立ち向かっていくのか、クローズアップすることにしました。
ひとつのエールとして、受け取っていただければ幸いです。
こんな危機はかつてなかった……。レースクイーンを取り巻く現状とは?
もうこれ以上、そのワードを目にしたくもないし、打ち込みたくもない。
“新型コロナウイルス”――。あまりにも憎たらしい。
まずは、犠牲となった方々のご冥福を、そして今、病と闘う方々のご快復を心より祈りたい。
レース業界、レースクイーンたちもまた、甚大なダメージを被っている。
レースクイーン界の老舗雑誌『ギャルズパラダイス』の編集長、後藤比東至 さんはこう語る。
「車の専門誌を長年手掛けてきた私たちモンキープロダクションが、『ギャルズパラダイス』の編集と発行に携わってから15年になります。これまで増刷や増刊はあっても、本を出さないといったケースはなかったです。2009年のリーマンショックや2011年の東日本大震災といった未曾有の状況でも、発売中止となったことは一度もありませんでした。
毎春、各カーレースの開幕戦に合わせて取材をしてきましたが、初めて今年は『スーパーGTレースクイーン オフィシャルガイドブック』の発売を見送りました。いまだレースがスタートを切っていないのに、レースクイーンを取り上げるのは成立しないからです。苦渋の決断です」
本連載第1回、第8回と、たびたびご登場頂いた『オートスポーツweb』の磯田隼人さんも表情を曇らせる。
「正直、今はレースを開催している場合ではないですね。毎年5~6月に開かれる世界三大レースに目を向けても、F1モナコGPは当初5月21~24日開催となっていましたが、中止が決定しました。ル・マン24時間レースは毎年6月に開催されますが、こちらも9月に延期。アメリカのインディ500レースに至っては、5月最終月曜の戦没将兵追悼記念日の前日に必ず行われるのですが、104回の歴史で初めて中止となり、8月に延期して開催予定。とはいえ、はたして先延ばしにしたところで必ず開催されるのかは、まったく不透明の状況です」
レースクイーンの多くは、専門的な副業を持つ人をのぞいて、レース以外の収入源を展示会のイベントコンパニオン業務や撮影会出演にたよる。
とくに春先は、各企業の新商品発表を軸に、大規模~中規模の多種多様なエキシビションが開かれる。あるイベントコンパニオン事務所の場合、2019年3月の募集案件は優に100件近くを数えたが、今年は中止もしくは延期で、ほぼ全滅状態だ。
多くの集客によって成り立つ団体撮影会も、もはや“ご法度”といっていい。客がマスクを付け、十分に距離を取り、野外にて行われる予防対策万全な1対1の個人撮影会が精いっぱいであろう。
福岡県在住のレースクイーン、安藤まいさん。彼女の状況もまた、ひっ迫しているという。
「イベントコンパニオンのお仕事のキャンセルが立て続けに発生したのは、2月下旬くらいからでしょうか。3月に入ると、みるみるうちにスケジュールが消滅していきました。仕事仲間の子は、“24連勤じゃなくて、24連休になっちゃった。どうしよう”と。
そのころ、スーパー耐久レースという国内のカーレースの開幕戦中止も決まって、これはマズイことになるかもしれないと思っていましたが、ドミノ倒しのように、スーパーフォーミュラも、スーパーGTも開幕戦は行われないとなって、ものすごく落胆しました。
私自身、2018年に身内の不幸があって、そのシーズンを棒に振っただけに、今年2年ぶりに念願のスーパーGTのチームで採用が決まって、張り切っていましたが、本当に残念です……」