よみタイ

男子の憧れ。レースクイーンは本当に消滅してしまうのか!?
“レースクイーン”――。この存在について、みなさんはどう思われているだろうか? 特に男性にとっては「セクシー」アイコンとして憧れの存在である一方で、「派手に遊んでそう」など、色眼鏡や先入観でとらわれがちなところもあるかもしれない。 おりしも昨年から、カーレースの最高峰であるFIではグリッドガールが廃止となり、その環境も変わってきているが、そんな彼女たちの本音や実像、歴史に真摯に迫ってみたい。 クルマやレースと女性の深い深い関係性も見えてくる短期連載特集です。

男子の憧れ。レースクイーンは本当に消滅してしまうのか!?

グリットガール廃止の前年、2017年のF1日本GPでグリットガールを担当した成海梓さん。ツイッターは@azusa_pon (写真提供/GALSPARADISE)
グリットガール廃止の前年、2017年のF1日本GPでグリットガールを担当した成海梓さん。ツイッターは@azusa_pon (写真提供/GALSPARADISE)

そしてF1ではレースの華、グリッドガールがいなくなった……

ちょうど、1年ほど前のこと。このようなニュースが、ちょっとした話題になった。
「F1がグリッドガールを廃止! レースクイーンも消滅か!?」
2018年1月31日、FIA(国際自動車連盟)がフォーミュラワン世界選手権(以下、F1)のグリッドガール廃止を公式ホームページで発表したことを受けてのものだった。「グリッドガールは女性蔑視だ」という非難する意見が数多く寄せられていたこともあり、FIAは、「現代の社会常識に合わなくなったため」と説明した。よほどのカーレース好きでなければ、“グリッドガール=レースクイーン”と捉えるのが一般的。そのためレースクイーンもいなくなる? と男性を中心に話題になったわけだ。が、よくよく聞いてみると、実はそうではないらしい。

実際に、F1グリッドガールとスーパーGTレースクイーンの両方を経験している現役の成海梓さんはこう説明してくれた。

「わたしは2017年10月のF1日本GPでグリッドガールを務めました。業務は、レースのスタートセレモニーの際、担当する出走車の前に立って、カーナンバーが表示されたグリッドボードを持つこと。それと、表彰式でのアシスタントです。

一方のスーパーGTレースクイーンの仕事は多岐にわたります。スポンサー企業から雇われて、グリッドガールのような仕事はもちろん、チームやスポンサー企業の様々なプロモーション活動に従事するんです。

両方を経験して感じたことは、F1は世界的なレースだから、たしかに誇りを感じますけど、スーパーGTの連帯感も捨てがたい。チームやスポンサーのみなさんと1年間行動をともにするわけですから。いずれにしても、これのどこが女性蔑視なのか、よくわかりません」

ここで、まったくモータースポーツがわからないという方に、F1とスーパーGTについて簡単にご説明。F1は、タイヤむき出し&屋根なし運転席の形を持つフォーミュラーカーの世界最高峰レース。スーパーGTは、もともとは街中を走る市販車を改造、レース仕様にしたレーシングカーが競い合う日本発祥の選手権シリーズだ。

国内よりも海外を主戦場として、様々なレーシングチームでマネージャーを務めるヨハンナ吉田さんは語る。

「海外でのグリッドガールはオーガナイザー(大会組織)が雇うもので、全員が同じ衣装をまとい、基本的にはスタート進行時と表彰式ぐらいしかいないのです。決勝前、グリッドボードを持つ女性が誰になるかは、チームの誰もわからない。自分たちの車を、大会で注目されているようHOTなグリッドガールが担当したら、チーム内の無線のやりとりで優勝したかのような騒ぎになることもしばしばです(笑)。

一方のスーパーGTは、スポンサー企業が年間契約で雇い、しかもレースクイーン雇用に関しては競技規定に組み込まれているんです。これは世界的に見ても稀かと思います」

日本のレースクイーン、ことスーパーGTについてはフォーマットが独特だという。
成海さんや吉田さんの話を聞くかぎり、レースクイーンは立派なチームメンバーなのだ。

1 2

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Facebookアカウント
  • よみタイX公式アカウント

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

高橋史門

たかはし・しもん●エディター&ライター。1972年、福島県生まれ。日本大学在学中に、「思想の科学」にてコラムを書きはじめる。卒業後、「Boon」(祥伝社)や「relax」、「POPEYE」(マガジンハウス)などでエディター兼スタイリストとして活動。1990年代のヴィンテージブームを手掛ける。2003年より、「週刊プレイボーイ」や「週刊ヤングジャンプ」のグラビア編集、サッカー専門誌のライターに。現在は、編集記者のかたわら、タレントの育成や俳優の仕事も展開中。主な著作に「松井大輔 D-VISIONS」(集英社)、「井関かおりSTYLE BOOK~5年先まで役立つ着まわし~」(エムオンエンタテインメント※企画・プロデュース)などがある。

週間ランキング 今読まれているホットな記事