2019.1.11
男子の憧れ。レースクイーンは本当に消滅してしまうのか!?
そしてF1ではレースの華、グリッドガールがいなくなった……
ちょうど、1年ほど前のこと。このようなニュースが、ちょっとした話題になった。
「F1がグリッドガールを廃止! レースクイーンも消滅か!?」
2018年1月31日、FIA(国際自動車連盟)がフォーミュラワン世界選手権(以下、F1)のグリッドガール廃止を公式ホームページで発表したことを受けてのものだった。「グリッドガールは女性蔑視だ」という非難する意見が数多く寄せられていたこともあり、FIAは、「現代の社会常識に合わなくなったため」と説明した。よほどのカーレース好きでなければ、“グリッドガール=レースクイーン”と捉えるのが一般的。そのためレースクイーンもいなくなる? と男性を中心に話題になったわけだ。が、よくよく聞いてみると、実はそうではないらしい。
実際に、F1グリッドガールとスーパーGTレースクイーンの両方を経験している現役の成海梓さんはこう説明してくれた。
「わたしは2017年10月のF1日本GPでグリッドガールを務めました。業務は、レースのスタートセレモニーの際、担当する出走車の前に立って、カーナンバーが表示されたグリッドボードを持つこと。それと、表彰式でのアシスタントです。
一方のスーパーGTレースクイーンの仕事は多岐にわたります。スポンサー企業から雇われて、グリッドガールのような仕事はもちろん、チームやスポンサー企業の様々なプロモーション活動に従事するんです。
両方を経験して感じたことは、F1は世界的なレースだから、たしかに誇りを感じますけど、スーパーGTの連帯感も捨てがたい。チームやスポンサーのみなさんと1年間行動をともにするわけですから。いずれにしても、これのどこが女性蔑視なのか、よくわかりません」
ここで、まったくモータースポーツがわからないという方に、F1とスーパーGTについて簡単にご説明。F1は、タイヤむき出し&屋根なし運転席の形を持つフォーミュラーカーの世界最高峰レース。スーパーGTは、もともとは街中を走る市販車を改造、レース仕様にしたレーシングカーが競い合う日本発祥の選手権シリーズだ。
国内よりも海外を主戦場として、様々なレーシングチームでマネージャーを務めるヨハンナ吉田さんは語る。
「海外でのグリッドガールはオーガナイザー(大会組織)が雇うもので、全員が同じ衣装をまとい、基本的にはスタート進行時と表彰式ぐらいしかいないのです。決勝前、グリッドボードを持つ女性が誰になるかは、チームの誰もわからない。自分たちの車を、大会で注目されているようHOTなグリッドガールが担当したら、チーム内の無線のやりとりで優勝したかのような騒ぎになることもしばしばです(笑)。
一方のスーパーGTは、スポンサー企業が年間契約で雇い、しかもレースクイーン雇用に関しては競技規定に組み込まれているんです。これは世界的に見ても稀かと思います」
日本のレースクイーン、ことスーパーGTについてはフォーマットが独特だという。
成海さんや吉田さんの話を聞くかぎり、レースクイーンは立派なチームメンバーなのだ。