2020.9.22
川村エミコ、人生初のキャンプを振り返る〜「キャンプの思い出」
初めてのキャンプで初めてのアメンボを見ました。あめんぼ、漢字で「飴坊」と書くとSちゃんに教えて貰いました。飴みたいな匂いがするってSちゃんが言っていたけど、私は鼻が詰まっていたのか分からなかったです。でも、初めて見たアメンボに感動しました。水の上を浮いて、スイスイ行ってすごい!と思いました。アメンボがいっぱいいて、「家族かなぁ。友達かなぁ。」とSちゃんに聞いたら、Sちゃんは「アメンボにそんな関係性は無いと思うよ。」と言っていました。「でも、大きさ少しずつみんな違うね。」と私は言いました。
「何で浮いていられるの?」
「虫は軽いのと足の作りだね。」
Sちゃんすごいなぁ、頭いいなぁ、の気持ちがこのキャンプでドコドコと更に盛り上がりました。
初めてのキャンプはお泊まりです。そうです。初寝袋です。
土のデコボコと微かな香り、Sちゃんと妹ちゃんと私で芋虫みたくギュッと寝ました。とってもワクワクして楽しかったです。
アメンボと森の中で遊んだこと、寝袋と……全てが新鮮で楽しいキャンプ。食べたご飯を一切覚えていないのが謎なのですが。
Sちゃん家族に感謝です。
Sちゃんへの憧れは更に募りましたが、そのままSちゃんとは卒業でお別れしました。
中学に入り、小6の担任だったK先生と同じクラスのみんなで会うことになりました。待ち合わせはボーリング場です。
その時、憧れのSちゃんと会えるのをすごくすごく楽しみにしていました。
中学に入ったSちゃんは、何故か後ろ髪だけを異様に伸ばし細〜くそれはそれは細〜く三つ編みにして、ボーリングをしていました。Sちゃんの中身は変わらないだろうし立派な私立の中学校に通い更に秀才さは増しているはずなのですが、私はその髪型にショックを受けました。
憧れていたSちゃんじゃない!と思ってしまいました。すごい遠目でSちゃんを見つけた時の映像が思い浮かびます。
髪型で判断してはいけないのですが、中学1年生の私はショックでした。
これが私の初めてのキャンプでした。
あの土のデコボコと微かな香りのワクワク感をまた味わいに、キャンプに行きたいなぁと思います。
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単行本では、エッセイの他に、川村さん秘蔵のこけし写真や描きおろしイラスト、幼少期からのアルバムページなども収録。“川村ワールド”をたっぷりとご堪能ください!
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