2020.8.30
醜い豚、怠け者のロバ、腹黒い犬…ことわざ界で虐げられるかわいそうな動物たち
例えば、日本でも「能ある鷹は爪を隠す」といいますが、世界のことわざでも鷹やライオンは高貴なイメージ。気高さや能力のある人の象徴としてよく使われます。
一方で、「なにもそこまで言わなくてもいいのに」と気の毒になるほど、かわいそうな扱いを受けている動物も。
そこで今回は、ことわざ界で長年“虐げられてきた”動物に注目! 登場することわざの意味とあわせてご紹介します。
※書籍『まんが アフリカ少年が見つけた 世界のことわざ大集合 星野ルネのワンダフル・ワールド・ワーズ!』(星野ルネ著)の一部を再編集してお届けします。
(構成・文/よみタイ編集部)
悪いことや醜いことは、とにかく「豚」にたとえる
近年の研究ではチンパンジーと同じくらいの知能があり、パズルもできるなど、非常に頭の良い動物であることが明らかになっている豚。
しかし、豚はイスラム教やユダヤ教では「不浄」とされる生き物で、ことわざの中では古くから醜さや卑しさ、愚かさの象徴とされてきました。
「豚に真珠」(日本 他)
「価値がわからない者」のたとえ。もともとは新約聖書の中の一句で、世界中に同義のことわざが存在する。
「豚のしっぽより曲がっている」(ニカラグア)
悪運に見舞われたときに使うことわざ。
「坂を転げ落ちる豚よりも醜い」(アルゼンチン)
醜いことのたとえ。
「初雪の中の豚みたいに素敵」(ウクライナ)
非常に醜いことに対する皮肉。
「ジャガイモが凍ってしまったかどうかなど豚にわかるはずがない」(スイス)
「豚という輩は自分が何を食べて太っているか知らぬ」という意味。
馬と比較され、愚か者扱いの「ロバ」
ことわざの中で、愚か者や怠け者の象徴としてよく登場するのがロバです。「ロバは叩いても馬にはならぬ」(インド)や、「馬の居るべき場所に今やロバ」(モロッコ)のように、馬と比較して、より劣るものや無価値なもののたとえとして使われることもあります。
「馬じゃなくて、ごめんなさい……」と、ロバのいじけた声が聞こえてくるようです。
「ロバはひっぱたかれねば動かない」(アルバニア)
「ロバは叱っただけでは死にはしない」(ブルガリア)
「ロバの走りはすぐに止まる」(ジャマイカ)
いずれも、愚かで怠け者のたとえ。
「ロバにコーランを読む」(アフガニスタン)
少しも効果がないこと、ありがたみがないこと。「馬の耳に念仏」と同義。
「四月のアスパラガスは私が食べる、五月のは主人にやり、六月のはロバにやる」(スペイン)
「秋茄子は嫁に食わすな」と同義。「旬のものは他の人に食べさせたくないほどおいしい」(ロバに旬のものを与えるなどもったいない)という意味。