2021.8.22
ザ・ノース・フェイス、パタゴニア…アウトドアスタイルはなぜカッコいいのか。そのルーツは「ヒッピー」にあり
ヒッピーに共鳴して生まれたアウトドアブランド群〜書き下ろし著者コメント
アウトドアウェアを初めてファッションとして認識したのは、ヒッピーです。
彼らが登場する1960年代まで、アウトドアマンの機能的ウェアは、ファッションとは無縁の“道具そのもの”でした。
ザ・ノース・フェイスは1966年にアメリカのカリフォルニア・バークレーで最初のストアをオープンしました。オープニングイベントではグレイトフル・デッドが演奏をし、店内にはボブ・ディランのポスターが貼られていたそうです。
1960〜70年代にアメリカ西海岸で創業したパタゴニアやグレゴリーなども、同様にカウンターカルチャーの背景を持つブランド。
これらのアウトドアブランド群は、薄汚れた文明社会に背を向け、ナチュラルに生きることを標榜したヒッピーに共鳴し、支援するために生まれたのです。
1970年代に入るとベトナム戦争から復員したアメリカの若者が、本国で盛り上がっていたヒッピー文化に触れ、アウトドアウェアを羽織り、バックパックを背負って海外を放浪しました。
彼らのスタイルが世界的なヘビーデューティの流行を生み、今につながるアウトドアミックススタイルが完成します。
今日では本格的な野遊びを趣味とする人は言わずもがな、たまに家族で山登りやキャンプをする程度の人、果てはほとんど街から出ない都市生活者でさえも、人気アウトドアブランドの服を普通に着こなしています。
その着こなしのルーツが1960年代のヒッピーにあるというのは、実に面白いことだと思いませんか。
『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』を読めば、このように連綿と受け継がれるストリートファッションの世界を垣間見ていただけると思います。
(2021年8月 佐藤誠二朗)
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