2021.7.15
女の本音とあざとさが見えたとき、ストーリーが加速し始めました〜『恋と友情のあいだで』コミックス化記念! ふるかわしおり先生特別インタビュー
原作はグルメメディア「東京カレンダー」に連載していた同名の大ヒット小説。それを人気漫画家のふるかわしおり先生が初の小説コミカライズにチャレンジしたのが本作です。
大学の同級生だった里奈と廉、ふたりの男女それぞれの視点で交互に描かれる、ヒューマンラブストーリーが、しおり先生の繊細で表情豊かなタッチでドラマチックに描かれます。
ファン待望のコミックス化を記念して、しおり先生のインタビューが実現。本作への想い、単行本の制作秘話などをたっぷりと語っていただきました。秘蔵の直筆ラフや制作資料なども特別にお見せしちゃいます!
(構成・文/「よみタイ」編集部)
コミカライズの最初の作業は里奈と廉の年表作成から
――原作小説を最初に読んだときの印象はどんなものだったのでしょう?
コミカライズのお話をいただいたのは、まだ原作が「東京カレンダー」に連載中(2019年)の頃でした。私自身もリアルタイム読者で「男女それぞれの視点」で交互にストーリーが進んでいくところが面白いと思っていたので、コミカライズの候補作は他にもいくつかあったのですが、最終的に『恋と友情のあいだで』が選ばれてうれしかったです!
――小説コミカライズに初挑戦ということでしたが、こだわった点や苦労されたことはありますか。
とにかく原作の世界観を壊さないようにしたかったです。
私自身はふだんあまり小説を読まないのですが、小説って文章の合間から登場人物の姿や生活を、読んだ人が自分で想像できる楽しさがあると思うんです。くっきりとは浮かんでいなくても、こんな顔をしているとか、こんな部屋に住んでいるとか。でも漫画にするということは、登場人物やシチュエーションはこれです、って私が明確に提示することになってしまうのではないかと考えていて……なので、原作の読者さんの中には私の絵を見て「これじゃない」と思った方もいらっしゃると思います。でもその中で、できるだけ原作者さんの意向や、読者さんのイメージを壊さないよう心掛けました。
そのためにまずは原作者のお二人(里奈視点:山本理沙さん、廉視点:安本由佳さん)にキャラデザ(キャラクターデザイン)のための素材を出していただきました。里奈と廉はどんな大学に行って、どの会社に入って、どんなところに住んでいるのか等々、具体的に。
あと、漫画にする視点で小説を読んでいると、「これは何月の出来事なんだろう」っていうのもすごく気になるんですよ。
この二つの出来事の間にはどれくらいの時間が流れているのか、夏服なのか冬服なのかとか、季節感というのは絵を描く際のポイントになってくるので。だから原作者さんにそのあたりもヒアリングをして、里奈と廉の年表も作りました。
――登場人物のビジュアルはどのように決められていったのでしょうか。
これもまずは原作者さんにイメージをお聞きしました。すると芸能人の方の具体的なお名前があがってきたので、その方々をたくさん調べてイメージを頭に叩き込みつつ、漫画にするならこんな感じかな、と少しずつアレンジしていきました。
モデルになった芸能人の方々は全員美男美女で、そのまま絵におこすとキャラの個性が出にくいように思ったので、たとえば直哉はあえて少しおじさんぽく年上に見えるようなビジュアルにして、廉との違いを出しています。