2021.7.10
書道家・武田双雲さんの100万円の使い道。「爆笑されるほど奇抜な書道具を作りたい」
その使い道から見えてくるのは、それぞれ異なる「お金や人生についての価値観や哲学」。誰しも関心があり、生きていくには絶対に必要だけど、それに囚われすぎても幸せな人生とはいえない――そんな不思議な存在、「お金」に迫ります。
記念すべき第1回にご登場いただくのは、書道家の武田双雲さん。
書道家としてだけでなく、現代アーティストや、音楽ライブ、子育てについての講演などなど、幅広く活躍中の武田さん。そんな自他共に認める“超多動”な武田さんの「100万円の使い道」とは……。
(構成・文/「よみタイ」編集部)
見た人の心がほぐれるような書道具を作りたい!
「自由に使える100万円の使い道」というテーマを最初に聞いたとき、真っ先に思い浮かんだのは寄付でした。
普段から何に寄付しようかな〜と考えるのは好きで、実際に、寄付をしたりクラウドファンディングに参加したりもしています。寄付先はいろいろなのですが、チャイルド・スポンサーとかシングルマザーを応援するものとか、子どもや親子に関するものが多いかもしれません。
でも、ここで話すのが寄付というのも何だか自分らしくなくて、面白みに欠けるかな、と。
ということで考えた100万円の使い道が、「オリジナルの書道具を作る」です。
墨、硯、筆、紙、それぞれの職人さんに相談して技術的なことを教えてもらいながら、これまでに見たことないような奇抜な形や素材の書道具を作ってみたい!
持ち手がレアメタルのずっしりとした筆とか、ダイヤモンドが入ったギラギラした硯とか。
実際にオリジナルの“商品”として販売したら100万円はすぐにペイするかもしれないけど、そういうビジネスではなくあくまでも趣味として、「何でこんな無駄なもの作ったの!?」「使えねぇよ!」と爆笑してもらえるようなものが作りたいですね。
ふだん書道に使う道具は心地よさを重視して選んでいるのですが、ここではそういう実用性や効率性は無視。完全にギャグに走って、それを見た人の心がほぐれてくれるようなものがイメージです。
ちなみに、もし自由に使える金額が10万円なら、江戸時代前に作られたような骨董品の水差しを買います。水滴とも呼ばれる、書道の時に硯に水を注ぐ道具で、自分が唯一コレクションしているものがこれなんです。
小さいので、アンティーク品でも10万円くらいで買えます。
100億円使えるなら、「楽」という文字の形をした巨大美術館が作りたいですね。館内には観た人が「えー!」ってなるような現代アートが飾ってあるんです。たとえば「うんこアート」とか。
「楽」の文字の「白」の両脇にある4つのヒゲ部分が洞窟になっていたり、「木」の払いの部分が滑り台になっていたり、ワクワク遊び心満載の構造にしたいです。