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生活保護家庭からハーバード大に進学。お笑い芸人・パックンさんが考える効率的な「100万円の使い道」とは?

生活保護家庭からハーバード大に進学。お笑い芸人・パックンさんが考える効率的な「100万円の使い道」とは?

注目の各界キーパーソンに「もしいま自由に使える100万円があったら何に使いますか?」を聞く特集連載。

その使い道から見えてくるのは、それぞれ異なる「お金や人生についての価値観や哲学」。誰しも関心があり、生きていくには絶対に必要だけど、それに囚われすぎても幸せな人生とはいえない――そんな不思議な存在、「お金」に迫ります。

前回は、フリーアナウンサーの安東弘樹さんが、「ESG投資」についての考えを語ってくださいました。

今回ご登場いただくのは、お笑いコンビ「パックンマックン」のパックンこと、パトリック・ハーランさん。生活保護を受けるほど困窮していた家庭に育ち、数百万の借金をしてハーバードに進学したパックンさんが考える、100万円の使い道とは……?

(構成・文/よみタイ編集部)

10歳からアルバイトで家計を支えていた

僕の人生で、初めて100万円が貯まったのは27歳くらいの時でした。
それまでなぜ100万円を持っていなかったのかというと、単純に家が貧乏だったから。そして、貧乏でも借金をして大学に行くことを選んだからです。
7歳のときに両親が離婚し母親と二人暮らしとなって、一時期はフードスタンプ(アメリカで貧困家庭に支給される食料品交換券のようなもの。日本の生活保護のようなシステム)の支給を受けるほど、家にはお金がありませんでした。一人当たりの食費は89セント(100円くらい)という厳しい家計を助けるために僕は10歳から新聞配達のアルバイトをしていました。
それでも、ただがむしゃらに働いて貯金をしていれば、もっと早く100万円は貯まっていたでしょう。でも僕は、数百万の借金をして、ハーバード大学に行くことを選びました。理由はシンプルで、大学に行った方が、リターンが大きいから。実際、23歳で働き出してから2年ほどで借金は返し終わって、学費として借りた額以上の収入を得ることができています。

27歳以降は常に100万円以上の貯金がある生活を続けていますが、子どもの頃の経験もあって、無駄遣いは大嫌い。飛行機もエコノミーでいいし、高級ブランドの服なども買いません。安いスーパーを選んで買い物をしたり、一つの物を長く使い続けたり、コツコツと節約生活を続けています。

お笑いコンビ「パックンマックン」のパックンこと、パトリック・ハーランさん。
お笑いコンビ「パックンマックン」のパックンこと、パトリック・ハーランさん。

金額以上の価値を感じられるものにお金を使いたい

子どもたちにも、お金があることが当然だと思ってほしくないので、何か物を買う際も、欲しい物をいくつか聞いて、その中で本当に必要な物を考えて選ばせたり、お祭りに行く際には「今日夜店で使える金額は絶対に1500円まで」とルールを決めたりして、無駄遣いをしないように教えています。
とはいえ、人生の目的はお金を稼いで貯めることではないし、お金はモノやサービスに換えないと意味がありません。
子どもたちには、お金のありがたみを知って、金額以上の価値や喜びが得られるものに使うようになってほしいと考えています。

僕にとって、払った金額以上に価値が得られると思うのが、「教育」です。
だから、自分の大学の学費や、子どもが私立に通う学費など、教育にはお金を使ってきました。

教育の投資こそリターンが大きいと考える理由は、より良い教育を受けることによって、幸せを形づくるための選択肢が増えるからです。もちろん全員が必ず大学に行かなくてはならないわけではないし、机の上の勉強だけでは学べないことも多い。でも、世の中の仕組みとして、大学に行った方が、選択肢が増えることは確かです。例えば、僕は英語の教師として働くために23歳の時に来日しましたが、大学を出ていなければ、このビザを取得する権利すらありませんでした。
教育を受けていると、自由に生きられるチャンスが増えるし、人生で苦難に直面した時に問題を解決するための情報収集力や分析力も養うことができます。

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パトリック・ハーラン

芸名パックン。1970年生まれ。アメリカ合衆国コロラド州出身。1993年、ハーバード大学卒業後来日。福井県で英会話講師をつとめ、1996年に役者を目ざして上京。1997年に吉田眞(よしだまこと)とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。現在は司会やコメンテーターとして活躍。2012年から東京工業大学で非常勤講師をつとめる。
著書に『逆境力 貧困で劣等感の塊だった僕が、あきらめずに前に進めた理由』(SB新書)などがある。

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