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「男性には、超えたらあかん性的『一線』がわかりづらい」南和行さん×三輪記子さん 男女のトラブル法律対談

弁護士がグラビアに出るという面白さ

 三輪さんの夫さんは、僕も親しくさせてもらってる元編集者で作家の樋口毅宏さんですが、本の執筆にあたって樋口さんからアドバイスを受けたり、何か影響を受けたりはされていますか。

三輪 初稿のゲラは読んでもらいました。よかったよと言ってもらって、日本語の言い回しがこっちはこれのほうがいいみたいなところだけ修正してくれましたね。

 へー。そういうときって、ちょっとでも夫さんからの修正が入ったら、イラってしたり、何やねんと思ったりはしないタイプ?

三輪 全然。やっぱり文章に関しては、樋口の文章ってすごく読みやすいと思っていて。本当に読みやすい文章を書くってすごく難しいことだと思うので、それができているというだけで相当すごいと思うし、あと、書かれた文章をちゃんと読みやすい文章に校正することに関しても、夫は優れているなと思いますね。
私自身は、文章を書くのはあまり好きじゃないというか、書き始めると、やっぱり正確性が気になってしまうので、とにかく時間がかかるんです。ここを調べなきゃとか、こういう書き方でいいのかなとか、悩みが次々出てくるので、やりたくないとかじゃないんですけど、書くことが大変だなというのはあります。

 僕は逆で、『夫婦をやめたい』みたいな物語風の原稿は、結構あっという間に書けるんです。裁判の文章とか、弁護士らしい文章を書くのは、たまにすごくまどろっこしくなって、書けなくなるときがあるんですけど……。
弁護士の仕事をしていると、フィクションの物語をつくることで、自分が受け止めた他人の感情を言葉とか人物像に再構成したいという気持ちがすごく湧いてくる。逆にそれをしないと、いろんな人が心に住み過ぎて、心がもたへんわみたいに思うわけですよね。作りかけの人形の断片だけが心にあるみたいになって、それをちゃんと形にして組み立てて外に見えるところに並べてあげないと、僕の感情ももたない。三輪先生は、そういうのはないですか?

南さんの最新著書では離婚にまつわる法律用語の解説も充実(©️上田惣子/集英社)
南さんの最新著書では離婚にまつわる法律用語の解説も充実(©️上田惣子/集英社)

三輪 すごくわかりますよ。それをどういうふうに表現するかだと思うんです。南先生は文章を書くとか音楽とか、そういうのが自己表現で、私はグラビアやってみたりとか、くらたま(漫画家の倉田真由美さん)とやっているYouTube「みわたまチャンネル」でビキニ着たりとか、そういう行動が自己表現なんですよね。法律関連の本の執筆も含めた弁護士らしい活動とはまた別に、自分が世の中に訴えたいことというのがあるんです。そもそも弁護士がなぜグラビアに出るねんというところに疑問を持ってほしいというか。

 じゃ、三輪先生は弁護士じゃなかったらグラビアには出てなかったかもしれない、と。

三輪 そうそう。だから別にグラビアがメインじゃないというか、弁護士がグラビアに出るというところの面白さだと思っています。
時々、グラビアを見たという方から手紙とか来るんですよ。
たいていは「すごく綺麗で素敵だと思いました」とか、礼儀正しいお手紙なんですけど、中には「何回抜きました」みたいなのもあって。同じ手紙を書くという行為であっても、「素敵だなと思いました」「思い切ったことをされるなと思いました」というのと「抜きました」というのは、全然違うじゃないですか。私、ブスとかデブとか言われるのはまだいいんですけど、そういう一線を超えたコメントは、YouTubeでも消すようにしているんです。
「そこは超えたらあかんでというラインをみんなで考えて実践しませんか」というのが私の表現活動における裏テーマではあります。

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新刊紹介

三輪記子

みわ・ふさこ●弁護士
1976年10月24日生まれ。京都府出身。東京大学法学部卒。
立命館大学法科大学院修了。2009年9月、司法試験合格。2010年12月、弁護士登録。以降、京都を拠点に弁護士業に携わる。
2017年9月に東京に拠点を移し(第一東京弁護士会所属)、2021年3月に「三輪記子の法律事務所」を開設。
各種ハラスメント問題や離婚・男女トラブルなどのエキスパートとして活動。
また、報道・情報番組のコメンテーターとしても多数の番組に出演中。
趣味は「法律相談・筋トレ・読書・映画鑑賞」。好きな言葉は「意識が存在を規定するのではなく、存在が意識を規定する」。
・三輪記子の法律事務所
https://www.miwafusako.com/
・三輪記子のTwitter
https://twitter.com/bi_miwa
・三輪記子のInstagram
https://www.instagram.com/fusakodragon/

南和行

みなみ・かずゆき●1976年大阪府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了後、大阪市立大学法科大学院にて法律を学ぶ。2009年弁護士登録(大阪弁護士会、現在まで)。2011年に同性パートナーの弁護士・吉田昌史と結婚式を挙げ、13年に二人で弁護士事務所「なんもり法律事務所」を大阪・南森町に立ち上げる。一般の民事事件のほか、離婚・男女問題や無戸籍問題など家事事件を多く取り扱う。著書に『同性婚―私たち弁護士夫夫です』(祥伝社新書)、『僕たちのカラフルな毎日―弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記』(産業編集センター)がある。
大阪の下町で法律事務所を営む弁護士の男性カップルを追った、本人とパートナー出演のドキュメンタリー映画『愛と法』(監督:戸田ひかる)は、2017年の第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞し、2018年全国上映で好評を博す。タレント弁護士として、テレビ番組へのコメンテーター出演やドラマ・映画の監修なども手掛ける。
・なんもり法律事務所
http://www.nanmori-law.jp/
・南和行のTwitter
https://twitter.com/minami_kazuyuki
・南和行のInstagram
https://www.instagram.com/minami_kazuyuki/

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