2020.4.3
スマホで注文・配達で誰にも会わずにアルコール漬けの日々
妻との死別、離別などの喪失体験
Cさんのように死別でなくても、熟年離婚も喪失体験の一つです。特に妻から離婚を切り出された場合は、ことさら強い喪失感を抱きます。それまで仕事一筋で頑張ってきて、これから妻とともに家でゆっくり過ごせると思っていたところで、はしごを外されたような気持ちになるのでしょう。
さらに身体機能の喪失もあります。歳を取ると、体力や筋肉量、性機能が落ちてきます。いろいろな意味で男性がパワーを確認するための身体機能が落ちるという喪失感から、自信を失っていきます。
また、友人が亡くなっていく寂しさもあります。65歳ぐらいになると、病気になる人も増えてきますし、同窓会に行くと、「誰々が死んだ」という話が頻繁に出てきます。
こうした経験を重ねていくことが避けられなくなっていったとき、喪失感を酒で埋めるという行為において、安く酔えるストロング缶の存在は大きいと思います。
アルコール依存症者の脳は長年の飲酒習慣によって萎縮します。お酒はビタミンB1(チアミン)の吸収を妨げるので、ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群(記憶障害・見当識障害・作話)と呼ばれる、認知症に似た症状が出てくることもあります。
毎日お酒を飲む人の適量は一日あたり日本酒換算で1合以下です。ビールなら500㎖缶1本、ウィスキーならダブル1杯(60㎖)、焼酎はグラス1/2(100㎖)、ワインはグラス2杯弱(200㎖)、缶チューハイ(AL7%)は1本(350㎖)です。毎日飲む人は、適正飲酒を続けるならばそれだけにしておかないといけません。
毎日20g以上の純アルコールを摂取してきた中年男性は、老後の物忘れの進行が最大で6年早まるという研究結果が、2014年、米国神経学会の学会誌『ニューロロジー』に発表されました。論文を執筆したロンドン大学のS・サビア氏は「中年男性を対象にした我々の研究は、飲酒量と認知機能の衰えが進むスピードとの間の相関関係を示唆している」と述べていました。