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4月30日は魔女が集う「ヴァルプルギスの夜」! 研究家が語るその真実と魔女の正体

魔女は時代が生んだ「スケープゴート」

そもそも、「魔女って何?」「本当にいたの?」と考える方もいるでしょう。

結論からいえば、魔女とは何かと問われても、魔女というのは時代や国によってさまざまで、魔女の定義などはできません。
ただ、16世紀から17世紀にかけて、ヨーロッパを席捲した魔女迫害によって多くの人々が魔女として命を奪われたことは史実です。
この時代は、長引く戦争、疫病の流行、飢饉などに苦しめられた悲惨な状況にありました。
そして、その原因を作ったのは、悪魔と結託した魔女だと断罪され、性別、年齢を問わず、多くの人が「魔女」として処刑されました。
それに手を貸したのは、教会や時の権力者だけでなく、一般の市民たちもでした。
魔女は間違いなく時代が生み出したスケープゴートだったのです。

そして、20世紀になると、ドイツはこの負の歴史を反省し、魔女迫害の犠牲者を鎮魂する碑を各地に建てるようになりました。

魔女を慰霊する噴水。(南ドイツ・オーデンタールにて筆者撮影)
魔女を慰霊する噴水。(南ドイツ・オーデンタールにて筆者撮影)

しかし、これが魔女のすべてかというと違うでしょう。

例えば、この21世紀、魔女は「可愛い」、「不思議で魅力的」、「憧れの女性」といったイメージを持たれるようになりました。そういう魔女も魔女の一つです。
このように、新しく誕生した魔女のカルチャーを楽しむのもいいことでしょう。

ただ、歴史の被害者だった魔女もいたということも、ぜひ知っていただきたいと思うのです。

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西村佑子

にしむら・ゆうこ●魔女研究家
早稲田大学大学院修士課程修了。青山学院大学や成蹊大学、東海大学のドイツ語講師を経て、現在はNHK文化センター柏・千葉教室講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展栃木県石橋町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道の同行講師、薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草に関わってきた。2015年には「魔女の秘密展」(東映、中日新聞社企画)の監修も務めた。
『魔女学校の教科書』(静山社)、『魔女の薬草箱』、『不思議な薬草箱』『魔女街道の旅』(いずれも山と溪谷社)など、魔女関連の著書多数。

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