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4月30日は魔女が集う「ヴァルプルギスの夜」! 研究家が語るその真実と魔女の正体

4月30日は「ヴァルプルギスの夜」。
夜になると、魔女と悪魔が年に1度の宴を催すという言い伝えがある日です。このことから4月30日は「魔女の日」と呼ばれることもあります。

なぜこの日の夜に魔女たちは集うのでしょうか。そして、そもそも、魔女とは一体どんな存在なのでしょうか。
魔女研究家で最新著書に『魔女街道の旅』(山と溪谷社)がある、西村佑子さんに説明していただきました。

今宵もどこかで魔女たちが、呑んで踊って楽しいひとときを過ごしているかもしれません……。

いくつもの魔女伝説が残るドイツ・ハルツ地方

4月30日の夜に悪魔と魔女が宴を催すという言い伝えがあり、この夜を「ヴァルプルギスの夜」と言います。
「ヴァルプルギス」とは、魔除けの守護者として信仰されるイングランド出身の「聖ヴァプルガ」(尼僧)に由来しているという説が有力ですが、確かなことはわかっていません。

4月30日は魔女たちが勢ぞろいする日。(ハルツ地方・ヴェアニゲローデにて筆者撮影)
4月30日は魔女たちが勢ぞろいする日。(ハルツ地方・ヴェアニゲローデにて筆者撮影)

「ヴァルプルギスの夜」の伝説は、ヨーロッパ(中欧・北欧)に広く伝わっています。特に有名なのがドイツでしょう。
17世紀にドイツの民俗学者プレトーリウスが記した『ブロッケスベルゲの仕業』によると、4月30日の夜、魔女たちは空を飛んで、悪魔のいるハルツ山地(ドイツ中部)の最高峰ブロッケン山にやってきて、悪魔の前でこの一年間どんな悪いことをしたかを報告しました。そしてカビの生えたパンや塩なしパンを食べて、そのあと水浴したり踊ったりし、5月1日を告げる一番鶏の鳴き声が聞こえると全員姿を消したといいます。

ハルツ地方には、「ヴァルプルギスの夜」伝説のあるブロッケン山以外にも魔女伝説のある地がいくつもあります。
例えば、ターレという町に、「へクセンタンツプラッツ(魔女の踊り場)」という場所がありますが、そこはヴァーテリンデという魔女の本陣で、森に薬草を探しにやってくる娘たちを誘っては仲間にしていたと伝えられている場所です。

町には魔女グッズを扱う店もある。「ようこそ」と魔女がお出迎え。(ハルツ地方・ヴェアニゲローデにて筆者撮影)
町には魔女グッズを扱う店もある。「ようこそ」と魔女がお出迎え。(ハルツ地方・ヴェアニゲローデにて筆者撮影)
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西村佑子

にしむら・ゆうこ●魔女研究家
早稲田大学大学院修士課程修了。青山学院大学や成蹊大学、東海大学のドイツ語講師を経て、現在はNHK文化センター柏・千葉教室講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展栃木県石橋町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道の同行講師、薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草に関わってきた。2015年には「魔女の秘密展」(東映、中日新聞社企画)の監修も務めた。
『魔女学校の教科書』(静山社)、『魔女の薬草箱』、『不思議な薬草箱』『魔女街道の旅』(いずれも山と溪谷社)など、魔女関連の著書多数。

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