2021.4.30
4月30日は魔女が集う「ヴァルプルギスの夜」! 研究家が語るその真実と魔女の正体
夜になると、魔女と悪魔が年に1度の宴を催すという言い伝えがある日です。このことから4月30日は「魔女の日」と呼ばれることもあります。
なぜこの日の夜に魔女たちは集うのでしょうか。そして、そもそも、魔女とは一体どんな存在なのでしょうか。
魔女研究家で最新著書に『魔女街道の旅』(山と溪谷社)がある、西村佑子さんに説明していただきました。
今宵もどこかで魔女たちが、呑んで踊って楽しいひとときを過ごしているかもしれません……。
いくつもの魔女伝説が残るドイツ・ハルツ地方
4月30日の夜に悪魔と魔女が宴を催すという言い伝えがあり、この夜を「ヴァルプルギスの夜」と言います。
「ヴァルプルギス」とは、魔除けの守護者として信仰されるイングランド出身の「聖ヴァプルガ」(尼僧)に由来しているという説が有力ですが、確かなことはわかっていません。
「ヴァルプルギスの夜」の伝説は、ヨーロッパ(中欧・北欧)に広く伝わっています。特に有名なのがドイツでしょう。
17世紀にドイツの民俗学者プレトーリウスが記した『ブロッケスベルゲの仕業』によると、4月30日の夜、魔女たちは空を飛んで、悪魔のいるハルツ山地(ドイツ中部)の最高峰ブロッケン山にやってきて、悪魔の前でこの一年間どんな悪いことをしたかを報告しました。そしてカビの生えたパンや塩なしパンを食べて、そのあと水浴したり踊ったりし、5月1日を告げる一番鶏の鳴き声が聞こえると全員姿を消したといいます。
ハルツ地方には、「ヴァルプルギスの夜」伝説のあるブロッケン山以外にも魔女伝説のある地がいくつもあります。
例えば、ターレという町に、「へクセンタンツプラッツ(魔女の踊り場)」という場所がありますが、そこはヴァーテリンデという魔女の本陣で、森に薬草を探しにやってくる娘たちを誘っては仲間にしていたと伝えられている場所です。