2023.3.17
霧島に移住して1年半。『女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住』の藤原綾さんが今思うこと
本書は、父親が突然死したことをきっかけに、地域コミュニティを求めて、東京から鹿児島・霧島への移住を思い立った藤原さんの移住体験ルポ。
移住を決めた理由、戸建て物件探し、引越し、リフォーム、ご近所付き合い、畑仕事、仕事先の東京との往復など、「女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳」の等身大でリアルな体験談が、大きな共感を呼んでいます。
今回は、著者の藤原さんが「シングル移住」のその後をレポート。
温泉、居酒屋、カフェなど、霧島生活の中で見つけたお気に入りスポットも紹介していただきました。
4月1日(土)に「TSUTAYA BOOKSTORE 霧島」で開催するサイン会イベントの情報もあります。
(文・写真/藤原綾 構成/よみタイ編集部)
水の宝庫・霧島の住人となって
霧島に住んで1年半。少しずつお気に入りの場所が増えてきました。
硫黄泉を求めて霧島にやってきたのですが、実際に住んでみると多彩な泉質で、炭酸水素塩泉の勢力もかなり強いことがわかりました。霧島在住の方と話すと、意外とこの大きな魅力に気づいていない様子。霧島温泉郷が観光地としてまずまず知られていますが、住民で賑わう個性豊かな小さな銭湯にもぜひ立ち寄ってほしいところ。近所の居酒屋と温泉を楽しむ旅は、移住前の生活体験にも役立ちます。
東京の友人に霧島というと、「水が美味しい」というイメージが強いようです。実際、巨大な水瓶である霧島連山のおかげで、霧島は水の宝庫。山間部にある「大出水の湧水」は、神秘的な碧が美しい場所で、それはそれは透明度の高い泉がこんこんと湧き出ています。訪ねた当日も、福岡から水を求めて阿蘇へ、そしてここへやってきたというおじさんが、大きなポリタンクを抱えていました。来年は、友人にもみ殻付きの新米をわけてもらって、このお水で炊こうと心に決めています。
そんな味にうるさい東京の友人を連れていって大正解だったのが「岩戸屋」というお店。馴染みの温泉に向かう途中にあって気になっていたので、この機会にと連れ立って行ったら「生ガキ 9粒 ¥650」に目を疑い、新鮮な鶏レバーに舌の快楽を覚え、筍の歯ざわりに癒され……と、客人も目を丸くしていました。旅の間、幾度となくいかに美味しかったかを語り草にするほど。